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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第495回・OPLAN 5026

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【閑話休題】第495回・OPLAN 5026

【閑話休題】

[記事配信時刻:2017-04-07 15:25:00]

【閑話休題】第495回・OPLAN 5026


▼にわかにキナ臭くなってきたので、本日は時局問題だ。

▼3日、慰安婦像の撤去を巡る問題で、日本に召喚されていた長峰韓国大使が現地に帰任決定。野党からは、「慰安婦問題が片付いていないのに、中途半端な帰任をするなら、最初から召喚しなければよかったのだ」、と手厳しい非難の声が上がっている。

▼野党のみならず、何をやっているんだという声は多かった。わたし自身も、なんという情けない判断だろうか、と思ったものだ。おまけに、帰任してみれば韓国側からは政府代表者との面談を拒否されて、メンツ丸つぶれの上塗りである。

▼当然、日本政府の判断ではなく、アメリカから帰任させろと言われたに違いない。アメリカから強要されたとは、政府としても言えない。

▼岸田外務大臣はこれに対して、「韓国で新大統領が選出される運びになっている現在、新政権との折衝準備をするには、必要なことだ」ということで説明している。しかし、そんなところに帰任の理由などはない。馬鹿でもわかる。

▼本当の理由は、やはり北朝鮮暴発のリスクに備えた、大使帰任であろう。これしか考えられない。在留邦人3万人以上という韓半島において、仮にも北朝鮮が暴発的な行動に及んだ場合に、(あるいは米国が、独力で先制攻撃をした場合に)日本の駐韓大使不在などという失態は、あってはならないわけである。

▼つまり、水面下ではかなり北朝鮮が、たんなる従来型の瀬戸際外交の延長でしかないのか、それとも、そこから超えてはならない一線を越えようとしているのか、かなり事態は臨界点を迎えているということだ。

▼その暴発の可能性は、確率としてはきわめて希少なものでしかないにしろ、発生した場合には目も当てられない。株式市場で、この駐韓大使の急遽現地帰任が発令された翌日から、ずるずると下げ幅拡大していったというのは、通常の日米ファンダメンタルズや、一般的な需給の循環とは関係のない、まったく地政学的なリスクを警戒してのことだろうと考えられる。

▼一番危険だとされている日程は、15日のキムイルソン(金日成)生誕105周年記念、及び、キムジョンイル(金正日)生誕75周年記念とダブル記念日だ。もう一つ危険だとされているのは、25日。朝鮮軍の建軍70周年ということらしい。が、やはり、ICBM(大陸弾道弾)の発射実験か、あるいは核爆弾の実験か、いずれにしろ可能性が高いのは、15日ということになる。

▼なにも北が暴発するといっても、38度線を突破するということではない。むしろ、注目されるのはアメリカの判断である。米中首脳会談の結果が待たれる。

▼中国が北朝鮮をコントロールできないのであれば(つまり、15日にICBM発射実験や核実験を行うのであれば)、アメリカは独力で介入すると言っているわけで、このリスクは一段とヒートアップしてきていると考えたほうがよさそうだ。

▼米軍が従来から韓国軍と想定してきた、対北朝鮮軍事行動計画には、いくつかのプランがある。ざっと主なもので、以下の通り。(OPLANというのは、おそらくOperation Plan=作戦計画の意)

●OPLAN-5026・・・北朝鮮の核施設を限定的に爆撃する。
●OPLAN-5027・・・北朝鮮軍の南侵(韓国への侵攻)が明白となった段階で進撃し、北朝鮮主要部を占領する。
●OPLAN-5028・・・欠番
●OPLAN-5029・・・北朝鮮の内部崩壊に際し、核・ミサイル施設を制圧する。
●OPLAN-5030・・・軍事力や謀略により揺さぶりをかけることで、朝鮮人民軍幹部を動揺させ、体制の内部崩壊を促す

▼現在、このうち一番可能性が高いと思われるのが、OPLAN-5026である。OPLAN-5029まではさすがに進まないだろうと個人的には思う。OPLAN-5027は、北朝鮮に軍が発狂でもしない限り、そんな腹は無い。これまでは、おそらくOPLAN-5030でそれこそ、揺さぶりをかけていたのだろうが、まったく焼け石に水どころか、火に油を注いでいるという状況だ。先日の金正男暗殺事件で明らかである。マレーシアなどは、まったく無条件降伏に近い。このOPLAN-5030に関しては、

▼トランプ大統領は「これまでの努力は失敗だった」とはっきり述べており、韓国では金正恩暗殺を目的とした特殊部隊の創設に入っている。つまり、OPLAN-5028が現在欠番のようだが、これが暗殺プロジェクト、つまり頂上作戦ということだったのかもしれないが、金正男が先手を打って殺されてしまったので、すげ替える首を失い、頓挫してしまっている。

▼米国としては、当面OPLAN-5026で打撃を与える。北朝鮮が改心すれば、交渉に応じてもよいが、変わらないのであれば、OPLAN-5026を断続的に行い、OPLAN-5030につなげていく、という線であろうか。

▼さて、この地政学リスクのダメージを一番被るのは、韓国と日本ということになるが、もとより韓国の金融市場はまともに海外投資家は資金を入れていないとすれば、換金売りが一番進むのは日本、ということになる。先週、インドが史上最高値を更新し、インドネシアが最高値接近と言う中で、今週日本が年初来安値を叩いたという事実は、日本からの一時的なリスク回避が垣間見えるかもしれない。

▼ちなみに相場では、この種の戦争や武力衝突というものは、突発的に起これば寝耳に水であるから、かなり株価の下落が長期化し、深化する可能性はある。しかし、たいていは事前に警戒して織り込まれる。まさに日本はそうだったのであろう。とすれば、この場合は戦争勃発で、相場は出尽くしで反発するのが常である。米軍によるアフガン空爆、第二次イラク戦争いずれもそうだった。突如発生した第一次イラク戦争のときだけが、長く深い調整になったことを思い出せばよくわかる。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄





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