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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第245回・小さな島国 日本

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【閑話休題】第245回・小さな島国 日本

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-02-28 16:00:00]

【閑話休題】第245回・小さな島国 日本

▼日本というと、欧米からみれば、極東のはずれの文化の吹き溜まりのようなものだ。しかも、小さい、ただの島々でしかない。

▼学生時代、同期に韓国からの留学生がいて、休みのときに彼の水原(スウォン)の実家を訪ねたことがある。タクシーに乗ったのだが、ちょっとした山(というか丘に近い)を通る。運転手に、「日本にもこんな山があるか?」といわれたので、目が点になったことがある。

▼もちろん「あるよ。こんなていどの山は、山とは言わないよ。山といったら、頂上まで何日もかかるもんだよ。そんな山は日本にいくらでもある。」と答えた。

▼運転手は驚いていた。彼曰く、日本は島国だから、そんな高い山があるとは思っていなかったというのだ。彼の認識がすべてであるとは思わないが、先入観による誤認ということは、誰にでもあるものだ。

▼わたしたち自身でさえ、「小さい、島国」という、お決まりのイメージをいつしか常識として抱いてしまったが、実際にはそうでもない。確かに、ロシアなどは1700万平方kmもあるから、日本の45倍に相当する。ロシアは世界の総陸地面積の11%を占める。

▼アメリカと中国は、それぞれ日本の25倍もある。日本は、世界の総陸地面積のわずか0.25%しかないのだが、2012年現在では、独立国家232カ国のうち、じつは62位である。意外に、下位ではない。

▼比較してみれば、面白い。欧州で、日本より大きい面積を持っているのは、わずかに、フランス、スウェーデン、スペインの3カ国だけだ。ドイツやイタリアなどは、日本より小さいのだ。

▼オランダやスイスは、北海道の半分しかない。ルクセンブルクは愛知県の半分だ。世界で一番小さい国というバチカン市国は、東京ディズニーランドの半分である。

▼こうしてみると、日本は思った以上に小さくはない。しかし、面積は多少見劣りするところがあったとしても、その土地や周辺環境の質のほうが大事だ。日本の場合、とくに大事なのは海だ。

▼たとえば、世界の25海域を研究者たちが10年間調べた結果が、2010年に発表されているが、その研究とは、バクテリアから哺乳類まで、あらゆる生物を対象にしたもので、世界80カ国、2000人以上の研究者が参加して行われた。

▼それによると、日本の海で過去に確認された生物すべてを併せると、計3万3629種類となり、25海域の中で一番多いことが分かった。しかも、日本の固有種は1872種である。とくに多いのが、軟体動物と節足動物だったようだ。

▼日本の近海は、深さ約1万mの海溝や海中山脈があり、非常に複雑な地形をしているので、多種多様な生物の棲家となりやすく、列島が南北に長いため、亜熱帯から亜寒帯までこれまたさまざまな気候性の違いがあることも大きく影響している。

▼もちろん、世界一などと書いたが、実は生物多様性の宝庫といわれる熱帯地域では、まだまだ調査が進んでいないので、文字通り日本が世界一ではないかもしれない。ちなみに、日本の次に多くの生物が確認されたのは、オーストラリアであった。3万2898種だったそうだ。

▼それにしても、日本の海は世界の海の0.9%しかないにも関わらず、とりあえず現時点では世界で一番生物が多いのであるから、その質の良さたるや感謝すべきだろう。これをずたずたにしてきた近代日本の歴史というのが、ある意味、うらめしい。

▼話を陸地に戻すが、世界の総陸地面積は約1億4894万平方kmで、これは地球表面全体の29.1%でしかない。そもそも、陸地が少ないのだ。その中で、大きい小さいと争っても、しょせんどんぐりの背比べみたいなものかもしれない。大きければいいわけではない。それはしょせん、「所与のもの(与えられたもの)」でしかない。大事なのは、質だ。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄




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