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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第582回・本当のロシア・ゲート疑惑

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【閑話休題】第582回・本当のロシア・ゲート疑惑

【閑話休題】

[記事配信時刻:2019-07-26 16:47:00]

【閑話休題】第582回・本当のロシア・ゲート疑惑

▼ロシア・ゲート問題は、あたかもトランプ政権のアキレス腱のような報道のされ方をしている。メディアはことさら、トランプ大統領の足を引っ張ろうとすることに全力を注いでいるが、反対にトランプ大統領の支持率は上昇しているというのが実態だ。

▼国民もバカではない。ロシア・ゲート問題をつきつめれば、結局トランプ大統領(それも大統領就任前の話がほとんどだ)より、民主党重鎮クリントン夫婦に及ぶことを知っているからだ。

▼それは、「オバマ政権時代のロシア疑惑」のことである。オバマ前政権が米国ウラン資源の20%の権益を持つ、カナダ企業の「ウラニウム・ワン」を、ロシアに売却する計画を承認する際、当時、担当責任者の1人である国務長官のヒラリー・クリントンや、陰の実力者であるビル・クリントン元大統領、そしてクリントン財団がどう関わったのかという疑惑だ。これこそが「本物のロシア疑惑」というわけである。

▼一説によると、この「ウラニウム・ワン」買収とほぼ同時期に、ロシア関係者から何と1億4500万ドル(約165億円)という巨額の献金がクリントン財団になされたという。

▼この「ウラニウム・ワン」売買について、ヒラリー国務長官を含む担当責任者らが承認したのは、2010年のことだ。当時、この疑惑発生当初から捜査に全責任をもつFBI(連邦捜査局)長官はロバート・ミュラー現特別検察官だった。

▼この事案をめぐっては、「ロシア側からの国際的な贈収賄、リベート、強要、資金洗浄」に関して、FBIに情報提供者を通じて、証拠が蓄積されていたと報じられていた。その報道内容にバラツキはあるものの、クリントン夫妻やクリントン財団が疑惑の渦中にあることに変わりはない。

▼そのFBIへの情報提供者は議会証言をしたい意向だったにもかかわらず、オバマ政権の司法長官はそれを阻止したとされる。議会証言すれば刑事訴追するとまで脅されたというのだ。これは明らかにFBI情報提供者に対するオバマ政権による「言論弾圧」であり、「議会からの情報隠し」のそしりを免れない。

▼この「言論弾圧=議会からの情報隠し」の疑いは、FBI情報提供者が雇った弁護士によって、米メディアに明らかにされた。それを知った議会は烈火のごとく怒り、司法省に対して、その解除を強く要求した。オバマ政権からの残留組が多い司法省のキャリア官僚たちは、議会の剣幕に脅え、「言論弾圧=議会からの情報隠し」はすぐさま解除された。

▼この「すぐさま解除」したことは、逆に言えば、オバマ政権による「議会からの情報隠し」が、ズルズルと長年にわたって実在したことを意味する。たしかに、この事案は刑事問題のほかに、ウランに関わる国防問題の側面もあり、非公開にする必要があったかもしれない。だとすれば、秘密会で議会証言させるという手もあったはずだ。

▼このオバマ政権による「引き延ばし戦略」、すなわち、議会に情報開示せずに問題を引き延ばす戦略には、似たパターンがつきものだ。2009年の段階でFBI情報提供者が、ロシア側による違法行為の多くの証拠をもたらしたと伝えられる。

▼ところが、当時、そのロシア疑惑の捜査は、ミュラーFBI長官の下で、延々と引き延ばされたと、米メディアは報じている。ロシア側の担当者が逮捕されたのは、何とミュラーFBI長官が退職した翌年の2014年だった。

▼オバマ政権時代、オバマ大統領とミュラーFBI長官とは切っても切れない関係にあった。FBI長官の任期は10年というのが慣習になっているが、オバマ氏の要請でミュラー氏は2年延長してFBI長官を務めている。

▼この「本物のロシア疑惑」には、日本企業もとばっちりを食っている。東京電力と東芝は、国際協力銀行とともに「ウラニウム・ワン」に出資し、20%近くの株式を保有していた。しかし、同社のロシアへの売却に伴い、同社株を手放すことになった。

▼この「本物のロシア疑惑」は、民主党にとっては核弾頭級の大問題である。なぜなら、「ウラニウムワン」売却当時、共和党は、国家安全保障上、ロシアへの売却などありえない、と大反対していたからだ。それを、売却強硬したのがクリントン国務長官であり、オバマ大統領だったわけだ。

▼仮に来年の大統領選挙で、民主党が敗れたとしたら、民主党からは「トランプ大統領弾劾」を本格的に行うという説もある。が、それも無いだろう。そんなことをすれば、トランプ政権は、この民主党にとっては最大の「弁慶の泣き所」のすべてを暴露し、大々的な反民主党(反国家的犯罪)として大キャンペーンを打つことは必至だからである。

▼国民は、アメリカの国益(それが単細胞的な意味であったとしても)、トランプか、それとも民主党か、どちらが国益にかなった行動をしているかということを、この一件だけで明確に線引きすることができる。民主党は圧倒的に不利である。人権や、平等、貧富の格差といった、理想主義的なスローガンは、売国的行為という汚点一つで、すべて台無しになってしまうのである。

▼よく、「トランプ大統領は、メディアとのコミュニケーションが下手だ」と批判され、バカにされる。それにくらべて、民主党の大統領候補たちは、メディアに融和的だと評される。

▼しかし、民主主義にとって、どちらが一体、あるべき正しい姿だろうか。民主党候補たちのように、メディアにおもね、メディアも肩入れして、両者癒着のような傷のなめ合い関係が、真の民主主義にとってあるべき正しい姿なのだろうか。

▼それとも、トランプ大統領のように、一時間に一回は、メディアと論争し、言い返し、押収となり、ツイッターで両者口かわ泡を飛ばして舌戦を繰り返す。どちらが正論かは横におき、両方の反対の主張が、真っ向からぶつかり合う緊張の連続こそが、民主主義の真骨頂だったのではなかったのか。

▼そういう意味では、メディアから「民主主義を冒涜する大統領」として非難の矢面にたっているトランプ大統領のほうが、はるかに「民主的な」言動に終始しているとさえ思えるのだが、どうだろうか。少なくとも、健全な政権とメディアとの関係である、と思うのだ。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄



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