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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第69回 続・日本人と日本語のルーツ

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【閑話休題】第69回 続・日本人と日本語のルーツ

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-06-11 17:30:00]

【閑話休題】第69回 続・日本人と日本語のルーツ


▼再び日本人と日本語のルーツの話である。日本語には、日常使ってはいても、どうしてその言葉ができたのか、あまりにも不可解な言い回しがある。たとえば、「のるかそるか」だ。この言葉は、「一か八か、勝負だ」というときに使う。「生きるか、死ぬか」という選択のときも同じ。しかし、どう考えても、「乗る?」「反る?」・・・どうにもその組み合わせで、その意味になるとは思えない。

▼例の、日本語の祖語(祖先にあたる言語)を、インド洋から太平洋全域にわたって分布するマライ・ポリネシア語族の言葉に求める海洋民俗学者たちによると、この「のるかそるか」は、現在でもインドネシアで使われている言葉から来ているという説を唱える。

▼インドネシアでは、「norga sorga」というのだが、「norga」は地獄の意味。「Sorga」は天国の意味。しかも、「norga sorga」と続けて使うことで、「生きるか、死ぬか」という意味にも通常用いられているという。これは、ただの偶然だろうか。

▼マライ・インドネシア方面から、古代、黒潮に乗って筏(いかだ)ではるばる日本列島にたどり着いてきた彼らが、おそらく最初に到達したのではないか、と推定されているのが、東海は静岡県あたり。昔は、駿河国(するがのくに)と呼んだ。「Suruga」は、インドネシア語の「sorga」から来たのではないかという。ようやくたどりついた陸地(静岡県)を指して、sorga(極楽)と名づけたとしても、その気持ちは分かるような気がする。

▼インドネシア語は、非常に日本語との近似点が多いことで知られる。たとえば、火は「api」だが、「ヒ」と「アピ」では、似てるとも言えるし、似てないとも言える。しかし、「めらめらと燃える」という言葉があるように、このめら(mera)は、マレーやインドネシアでは、赤という意味だ。「赤々と」というときには、重複語をなんとも思わないインドネシア語であるから、「mera mera」と使う。文字通り、「めらめら」だ。

▼こうした言葉の近似点を捜す作業は、それが学術的に妥当かどうかはともかく、楽しいものだ。たとえば、インドネシアでは「頭」のことを「utama」と呼ぶ。

▼沖縄にゴーヤ・チャンプルという料理があるが、このチャンプルは、インドネシア語で「混ぜる」という意味だ。これなどは、いつの段階で日本に入ってきたか定かでないから、日本の古語というわけにはいかないかもしれない。

▼海洋民族学説の立場を取る学者たちは、さらに突っ込んだ分析をしたりもする。たとえば、日本語の「刺身」だが、いったいどこが、「刺して」いるのか。おそらく、原始時代において、魚の身を棒や串などに刺して食べていたのだろうが、それは生であったか、焼いたかはともかく、語源は語幹の「さ」であろう、という。たまたま、この場合は、後から入ってきた漢字の「刺」という字を当てたのであろう。

▼インドネシアやマレーシアでは現在でも、この「サ」が「刺」という意味そのままに使われている名詞がある。「サティ」だ。肉の串焼きのことだが、「さしみ」の「さ」と本来、語源は同じなのではないか、という仮説になっている。

▼海洋民俗学によると、生活の基本となる言葉の近似点はかなり重要とされている。たとえば、「水を飲む」という言葉の場合、フィリピン語(タガログ語)やインドネシア語の動詞「飲む」の語幹は、「num」あるいは、「nom」である。「Mi-nom」になると、水を飲むことそのものを意味する。

▼「壷」や「蕾(つぼみ)」の「つぼ」という言葉も、インドネシア語の「tubo」から来ているのではないか、という仮説が立てられている。片方が口のように開いていて、反対側が閉じている形状のことを「tubo」と呼ぶ。まさに「壷」や「蕾」の形状そのものである。

▼さてさて、こうした言葉の近似点は、南方語と日本語を照らし合わせていくと、おびただしい数がある。しかも、規則性がないから立証するのは非常に困難だ。それらがどこまで真実性があるのか、なんとも言えないわけだが、話のネタとしては面白い。

増田経済研究所

「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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