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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第478回・経済がすべての動機である

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【閑話休題】第478回・経済がすべての動機である

【閑話休題】

[記事配信時刻:2017-07-14 13:25:00]

【閑話休題】第478回・経済がすべての動機である

▼都議会選の最終コーナーで、いつものように秋葉原で街頭演説に立った安倍首相に対して、「やめろ」コールが巻き起こった、と報道された。籠池氏まで乱入して、「安倍、ふざけるな」「死ね」コールが加速した。

▼あたかも、これが安倍政権に対する「民意」であるかのような報道をしてたのが、いわゆる朝日をはじめとする総合新聞であった。しかし、籠池氏の周りにぴったり寄り添って、「やめろ」コールをしていたのは、『対レイシスト行動集団(しばき隊、CRAC)』の野間易通と、元共産党員・有田芳生らだった。(この二人には、ハナから敬称を必要としない)

▼彼らは、ことごとに批判者を「国家の汚物」と非難しているので、わたしもここでは彼らを「汚物」と表現しておく。野間が率いる「しばき隊」に関して、有田は「ぎりぎりまでやってくれる」と絶賛しており、共闘関係にある。

▼こうした「汚物」が近年目立ってきたのは、一重に、経済が思うように回復ぶりを見せていないからにほかならない。そういう意味では、「汚物」が叫んでいるように、安倍首相の責任でもある。

▼国民の間に、生活が明らかに良くなってきている、明るい将来に期待ができる、というセンチメントがあふれてくれば、おのずと「汚物」は雲散霧消する。かつて、全国に吹き荒れた、革マル・中核といった左翼集団が、いまやその存在すら一般には認知されないような状態になったのと同じ運命をたどる。

▼結局、自由、民主主義、人権、民族自決、平等、そういった政治的イデオロギーは、しょせん大義名分にすぎない。絶対王政であろうと、独裁だろうと、国民が幸せだと認識できれば、政治体制が「近代的」「進歩的」でなくとも、一向にかまわないのだ。北朝鮮でさえ、人民がもし生活が安泰で、豊かで、明日の不安がないなら、金正恩将軍一筋の政治体制に、誰も文句を言わないだろう。諸外国も、ケチのつけようがない。

▼すべては、経済によって時代の流れは決定されるということだ。それも、経済がひとたび曲がってしまうと、それまで口にチャックをしていたのを開いて、いきなり自由や平等や、人権という言葉が飛び出してくることになる。為政者にとっては危険きわまりない状態になるのだ。言論封殺が完全にはできない中国で、今まさに為政者が味わっている苦悩である。

▼たとえば、今日は1789年に起こったフランス革命の記念日だ。7月14日である。パリではパリ祭が行われる。フランス革命からナポレオン時代は、一続きである。両者は区分することができない。

▼インターネットで、このフランス革命からナポレオン時代までを、箇条書きに、どういう経路をたどったか、実にわかりやすく書いているものがあったので、そのまま転載してみる。わたしが若干加筆訂正しているが、ほぼ原文に近い。フランスで200-230年前に一体なにが起きたのか、ざっくりこれでわかる。ポイントは、そこには、一切政治的イデオロギーの表現が無い、ということだ。すべて、経済的要因で歴史が動いてたということが、如実にわかるということなのだ。

事の発端から…

・ルイ14世時代に戦争やったり城の増築やって赤字財政になる。(ネーデルランド継承戦争、フランドル戦争、スペイン継承戦争、ヴェルサイユ宮殿建設)
・ルイ15世時代にやっぱり戦争やったりしすぎて経済破綻状態になる。(七年戦争)
・ルイ16世時代にアメリカ独立戦争を支援で本気でヤバイことになる。
・アイスランドの火山噴火の影響で冷害、大不作で農民大打撃。食えなくなる。
・それでいて税金はガッツリ取られることに国民の不満高まる。
・ルイ16世が、それまで免税されてた貴族、聖職者から税金徴収しようとして反発を受ける。つまり、それまでの味方を、敵に回した。
・ルイ16世が、思い余って、あろうことか貴族以外の身分の議員(いわゆるプチ・ブルジョワ、富裕者の民間人)を議会に呼んで援護射撃してもらおうとするが失敗。→室内球戯場に国民議員(プチ・ブルジョワや平民議員)が集まって勝手に国民会議を開く→テニスコートの誓い。
・国民会議と、伝統的な支配階級・貴族議員たちとの対立が深まり、国民の不満が増大。パリが不穏な空気に包まれる。
・貴族らが治安に不安を感じると訴えたため、国王は軍隊を配備。これが油に火を注ぐ。
・国民は「国王が国民と対決しようとしてるんじゃないか」とますます不穏な空気になる。
・パニック起こして「自分らも武装しよう」となって武器、弾薬庫を襲撃。これが、バスティーユ襲撃(バスティーユ監獄は弾薬庫を兼ねていた)。1789年7月14日。
・武装した国民が王宮になだれ込む。このまま、革命に発展していく。
・ 王政が倒れ、国王一家は、ヴェルサイユ宮殿から移送されることとなったが、恐れをなした国王一家はそのまま逃亡(ヴァレンヌ事件)。結局、捕まって「国民を裏切った」として、国王夫妻処刑。1793年1月21日。

(マリー・アントワネットのデスマスク)

(ルイ16世のデスマスク)

・そこから、各地で農民などが一斉蜂起し、貴族らを処刑するのがブームになる。
・革命派は一枚岩ではないため内部抗争勃発→権力闘争にあけくれ、次々と主導権を握った党派が、反対派をやたらと処刑(恐怖政治。エベール→ダントン→ロベスピエール)
・周辺国、革命の波及を恐れてフランスに戦争をしかける。
・貴族がいなくなったフランス軍は弱かったが、そこでナポレオンが大活躍する。1797年第一次イタリア遠征で、革命軍初の大勝利。第一次対仏大同盟崩壊。
・ナポレオンは、連戦連勝の勢い余ってエジプトまで遠征(誇大妄想)→失敗→フランスに逃げ帰る。
・一方フランス国内は大混乱、ナポレオンが戦争で勝って得た領土も取り返されていた。
・国民が革命政府に愛想を尽かしていたところに英雄ナポレオン「凱旋(実際には、エジプトから逃げ帰ってきた)」したので、熱狂的に迎えられ、戦争の天才を担いでクーデター起こし、成功。
・ナポレオンが国の実権を握る。
・周辺国ますます焦って戦争をしかける→ナポレオンこれを退ける。
・1804年、革命の成果(国民の利権)を定着させるために、圧倒的な支持でナポレオン帝政の容認。
・絶頂のナポレオンだったが、イギリスは頑強に抵抗。どうも、ナポレオンは海戦が苦手。
・ナポレオンは大陸では、度重なる戦争勝利で、圧倒的な発言権を握る。
・ナポレオンは、イギリスに一泡吹かせてやろう、そして革命と戦争で疲弊したフランス経済を立て直そう→イギリスを経済封鎖→大陸封鎖令を発動。
・結果、フランス経済が回復。しかし産業革命しているイギリスほどの生産力は無い。
・フランスだけでは大陸中の需要に応えられない→需要と供給のバランス崩れる→大陸経済のインフレ・混乱。
・一方、イギリスは経済封鎖されてないところに製品を売りつける→インド大迷惑を被る。
・物不足に悩んだヨーロッパ大陸でイギリスとの密貿易が横行。
・こんなことやってられるかと、まず遠く、一番貧しいロシアが大陸封鎖令破ってイギリスと貿易再開。
・ナポレオンの面子がつぶれる→イギリスにとどめをさすため、そして自身の起死回生のためロシア遠征するが失敗。
・独裁政権(ボナパルティズム)というものは、微妙な各種利権の微妙なバランスの上に立つのが普通なので、いったん負けがこむと、一気に崩壊する宿命にある。
・ということで、ナポレオン失脚。イタリア沖のエルバ島に流刑。→ヨーロッパ再編成のために各国代表が集まる→ウィーン会議。
・会議は、フランス革命+ナポレオン時代の後始末を巡り、昔に原状回復させようとするが、各国の利害が衝突し、なかなか結論がでない(会議は踊る、されと進まず)→最後の一勝負と、ナポレオン流刑地より脱出→慌てて会議終了。
・ナポレオンは一発勝負に出て、戦争しかける→ワーテルローの戦い→敗戦。
・今度こそ逃げられない場所にと孤島である、アフリカ沖のセントヘレナ島に幽閉。
・ルイ18世がフランスに戻り、絶対王政復活。

(ナポレオンのデスマスク)

▼こうしてみると、政局の転換はすべて経済的要因や動機であることがわかる。「自由・平等・博愛」など、その利権を守るための大義名分でしかない。戦争すらそうである。国民の利権を守ったり拡大したりするための、手段で使われている。

▼従って、ものを見るとき、メディア(とくに総合新聞)が書き立てる、表面的な「きれいごと」はお題目をさらっているだけのことで、本質はその裏に、経済的要因や動機が常に存在するということなのだ。

▼そうなると、ここから年後半、日本や世界はどういう動き方をするのだろうか。地政学上は混乱を増してきそうな様相を呈しているが、結局経済が世界の方向性を決めるのである。わたしはいつになく、大きな流れでは楽観的になっている。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄




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