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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】(誤字訂正済み)第454回・新元号

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【閑話休題】(誤字訂正済み)第454回・新元号

【閑話休題】

[記事配信時刻:2017-01-20 16:12:00]

【閑話休題】(誤字訂正済み)第454回・新元号

▼天皇陛下の、生前退位に向けて立法化がすすめられている。明治維新以来、一世一元となったことで、陛下が崩御されないと、元号改正にはならなかった。従って、次の元号はどうなるのだろう、などといった議論はとてもではないが、憚られる話だった。

▼しかし今回は、今上陛下がご健康なうちに退位されるということで、憚ることなく、ある意味「健康的な」次の元号はどうなるんだろうか、といった議論が、ネットでは大盛り上がりになっているらしい。

▼過去日本の元号は、飛鳥時代の「大化」から、現代の「平成29年1月20日」まで247の元号が使われてきた。明治より前は、天皇が変わらなくとも、気分一新ということでいくらでも元号は変更されてきた経緯がある。

▼日本史を勉強すると、これがとても厄介であり、往生したものだ。明治以降一世一元となったことで、かえってわかりやすくはなったのだが、またこれでもともとの元号のシステムに戻っていくようなことになったわけだ。

▼247元号といっても、意外なことにこれに使われた漢字の数はすくなく、たった72だそうだ。一番多かったのは「永」。これが29回も使われているらしい。次に「元」で、28回。大阪夏の陣の後、戦国時代が終わり、新しい平和な時代が始まったということから、「元和(げんな)」となり、徳川時代が始まった。そして、三番目が「天」の27回。下って、「治」が21回だそうだ。

▼ただ、アルゴリズムなどを使って、この247元号に使われた漢字からいくらでも組み合わせをしてみようといった試みもなされているようだが、まず根本的になんという書物のなんという言葉から採用するか、というのがあるわけで、「存在しなかった言葉」を造語のように作りだして元号にするということは、無い。統計学的に漢字熟語を割り出して、順列組み合わせすれば、元号ができるというのは勘違いである。

▼元号の出典には儒教の「書経」「易経」などがよく採用される。ちなみに「平成」は、「書経」の以下の文言から採用されたそうだ。

「地平ぎ天成り、六府三事允に治り、万世永く頼る」

つまり、天下の水陸共に平穏となり、生活の基礎の案配も君主のなすべき仕事も共にうまくいき、万世の後までもがこれを頼りとするであろうという意味だ。「史記」にも、「内平らぎ外成る」という文言がある。

▼ちなみに、ネット上での人気の高い候補漢字は、「平」と「安」だそうだ。平和や安心という言葉からの連想だろうが、「平」が「平成」に続いて使われる可能性は、(ほぼ)ゼロであろう。

▼この元号の候補をつくる「専門家」たちは、漢籍などに広く深い知識の人たちによってなされるのだろうが、戦後はとくに、アルファベットのことも考えなければならないので、大変だろう。

▼「明治」「大正」「昭和」「平成」ときたわけで、手帳その他書類上での略称で、MTSHという並びになってきたのだ。従って、直近何回かの元号と、頭文字がダブってしまうと困るので、まず間違いなく、頭文字がMTSHで始まる漢字は、除外されることになる。もっと言えば、明治維新直前の、「文久」「元治(よくガンジと読んだりするが、ゲンジが正しい)」「慶応」まで考慮すれば、BGKの可能性もかなり低いということになる。

▼また、I(アイ)や、O(オウ)も、数字の1や0(ゼロ)と紛らわしいので、まず考えられないという。

▼さらに、発音上、LVQXも、日本語には無いのでありえない。それを言ったら、F(唇を少し噛んだように発音する)のも、平安時代の古語にはあったが、今は無い。ただ、Hが平成と並ぶので、使えないということから、Fで「はひふへほ」の代用とする、ということであれば、完全には捨てきれない。が、この辺異論が出そうなので、ケチがつきそうなものは、おそらくやはり使わないだろう。

▼また、可能ではあるが、およそ日本語の語句からして、Pで始まるということは、まずありえないと思うので、これも排除されているはずだ。

▼ということは、アルファベットの頭文字としては、次のもので始まるものしか考えられないことになる。

ACDEFJNRUEWZ

この12文字である。漢字の出典から探し出すのを縦軸とすれば、このアルファベット12文字の頭文字という条件が、横軸ということになってきそうだ。

▼いくら考えてもどうにかなる話ではなく、2019年元旦に発表となるという運びらしいから、それを待つしかない。

▼それにしても、東京オリンピックがその翌年に開催されるわけで、手帳からなにから、企業のさまざまな書類から、免許証から、なんでもかんでもこの元号改正で入れ替わることになるから、かなり紙媒体中心に特需が発生するということはあるのだろう。気の早い向きは、すでに印刷業界などの株を買っている投資家もけっこういるらしい。

▼もちろん、これを機に、面倒な元号は止めてしまい、西暦で一本化せよという合理主義者も当然いる。

▼わたしは、元号は残すべきだと思う。もはや日本にしかない、この漢字二文字による元号制定は、その時代その時代のイメージに、これ以上の感性に訴えるシステムも無い。そこまで古代人が意図していたかはわからないが、日本という国や日本人という集団のアイデンティティには、かけがえのない「仕掛け」であると思っている。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄




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