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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第105回・蛍

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【閑話休題】第105回・蛍

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-08-01 18:30:00]

【閑話休題】第105回・蛍



▼花火とならんで、蛍も夏の風物詩だ。大きい蛍を「源氏ボタル」、小さい蛍を「平家ボタル」と呼ぶ。昔は人間の霊魂に例えられたそうだ。

▼「蛍雪(けいせつ)の功」という言葉がある。昔は、夜の明かりはほとんど油に頼っていたわけで、油が買えない貧しい人は、夏には蛍を沢山捕まえて蛍が放つ光で明かりを採り、冬には窓から差し込む雪で明かりを採っていた。様々な苦労をしながら、一生懸命勉強して立派な人になったという中国(晋の時代)の故事からきている。

▼それにしても、いったい1冊の本を読むのに、どれだけの蛍を集めないといけないのだろうか。ある研究家の実験によると、2000匹いれば大丈夫だという。しかも1000匹ずつカゴにいれて両脇に置くとさらにいいらしい。しかし、2000匹というのはかなりの数だ。中国の故事だけに、すべてが「白髪三千丈(しらがさんぜんじょう)」にしても、あまりにも凄い誇張である。

▼蛍は、ルシフェリンが空気中の酸素と結合(化学反応)する酸化反応で発光現象が起こる。蛍の「光」は、反射細胞によって表皮をとおり放射されることである。半世紀前、測定によって蛍は発光物質のルシフェリンの限界発光量の88%まで発光しているとされたが、秋山英文・東京大物性研究所准教授(物理学)らの研究で、実際にはその半分しか発光効率がないことが明らかになった。

▼また、ホタルが出す光の成分を調べると、赤色の光量を変えないまま、緑色の光だけを増減させて色を変化させていることも判明。光の三原色の残りの青色は出していない。ちなみに、蛍が地球上に現れたのは約5千万年前だそうだ。ちょうど、ヒトの古代文明が現れた時期と同時期ということになる。古代エジプト、メソポタミア文明のころだ。意外に新しい。

▼日本では、日本書紀(西暦720年)に、「ホタル」という言葉が登場しているらしい。平安時代には、すでに「螢」とよばれていたようだ。

▼ちなみに通常、光を出す場合は熱も発生するが、ホタルの放つ光はまったく熱を伴わない。こうした発熱を伴わない光を「冷光(れいこう)」という。

▼その蛍の光だが、実は全部の蛍が発光している訳ではないらしい。光るのは雄だけだそうだ。蛍の雄雌の比率は5:1。これはかなり厳しい競争率である。結果的に蛍の光のほとんどは、失恋した蛍たちの「敗者の光」だということになる。

▼最近では、蛍が乱舞するところで、携帯カメラによる写真撮影する人が多いらしい。ところが、携帯も発光するため、蛍にとっては大迷惑なのだそうだ。光を求めて飛んでいる雌蛍が、幻惑に引っかかっているようなものだ。

▼蛍を探すのは、一般的に初夏。曇った、月明かりのない漆黒の夜が良いそうだ。風の少ない蒸し暑い日だとなお良いのこと。時間的には、日没後30分ごろ( 19:30~21:00頃)がとくに活発だという。

▼俗に、「蛍20日に蝉3日」と言われる。蛍にせよ、蝉にせよ、幼虫時代が非常に長い。サナギを経て成虫になり、ようやく地上で暮らすようになるわけだが、地上での命はせいぜい1週間から3週間ぐらいだと言われている。

▼蛍も蝉も、その極端に短い地上での生活を精一杯謳歌し、義務を果たして潔く死んでいく。蛍は光りを灯し、相手を呼び寄せて交尾を行ない、子孫を残す。蝉は鳴き声で、相手を呼び寄せる。とてもではないが悩んだり、クヨクヨしたりする暇はないだろう。もちろん、自ら命を絶つようなこともない。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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