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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第119回・麻薬の話

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【閑話休題】第119回・麻薬の話

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-08-21 18:00:00]

【閑話休題】第119回・麻薬の話


▼麻薬の原産地は、ほぼ例外なく各地域の古代文明発祥地点と重なっている。麻薬は、文明の発生とともに始まったと考えてよい。タバコや酒など、合法・非合法の線をとりはずして考えてみよう。実際、麻薬というものの定義は、未だに明確な合意がなされているとは言い難い。

▼その効果から区分すると、おおむね二つに分かれる。たとえばコカ・コーラだが、その名の通り、もともとはコカインが含まれていたという。世界的に麻薬を規制する国際協定が結ばれて以降、コカ・コーラからコカインが抽出され、味覚だけが今に残っているようだ。もともとコカ・コーラは、軍の戦地用飲料として供給し、爆発的に販売の伸ばした経緯があるが、コカインが入っていたのではお話にならない。

▼このコカインは、服用することによって精神が高揚する。中枢神経を刺激するのだ。元気バリバリになったような気がしてくるらしい。こうした効果を伴うものには、合成麻薬であるLSDや覚醒剤もある。タバコもこれに近い。LSDなどの場合は、スーパーマンにでもなったような気分になるらしい。

▼100メートル先の内緒話が「聞こえる」ような気がするくらい、神経が過敏になるという。ビルの上から、幸福感とともに飛び立ってしまう死亡例もあるようだ。一方で不思議なことに、麻痺の効果もある。銃で撃たれても、痛みを感じないようだ。LSDが切れると、激痛が走ってくるという。

▼一方、コカイン系の効用とは逆に体が重くなり、地面にめり込んでいくのではないか、というくらいの倦怠感、それによる快感が得られるものがヘロインである。阿片もそうだ。これらは、元気になるのではなく、どんどん落ち込んでいくのだそうだ。何もしたくなくなるのだ。酒は飲んだ当初は血行がよくなるから、一見コカイン系の効果があるように思われるが、実は飲めば飲むほどヘロイン系と同じ効果、つまり、眠くなっていくのだ。酒には明らかに、ヘロイン系の効果があると言われている。

▼酒の中でも、麻薬かどうか、合法・非合法かでずいぶんと長年問題となってきたのが、アルコール度数70%を越えるアブサンだろう。ニガヨモギの香味成分であるツヨンにより、幻覚などの向精神作用が引き起こされるとされる。一時は、かなり世界的にも禁止されたが、今ではツヨンの含有量によっては、解禁になってきているようだ。

▼医薬と秘薬と麻薬の区別をつけ始めたのは、中世も終盤に入ってようやくのことだった。定着したのは20世紀に入ってからだ。1400年代には痛風の特効薬として、アヘンとか麦角(ばっかく=イネ科植物の穂にできる菌)が処方されていた。それも貴族つきのプロの医者が処方していたのだ。痛み止めの効果は絶大だが、逆に中毒になってしまうわけだ。

▼麻薬が、中世から現代に至るまで、もっとも長く医薬として効果的と考えられていたのは、実は「毒抜き」である。下剤としての効用や、吐瀉(としゃ)剤としての効用だったようだ。それのたび重なる服用で、逆に心身が痛んでしまえば元も子もないのだが。

▼夏は、非常に食が細る。ついつい、そば類でごまかしてみたりするが、それではパワーがつかない。栄養のバランスも悪い。そういうときには、カレーがなんといってもこの問題に総合的に応えてくれる。ところが、このカレー、スパイスのごった煮だけに、中には麻薬的な効用のものが使われていてもおかしくない。「漫画」の世界では、ブラックカレーなどといって、麻薬を使ったカレーが出てきたりするが、現実には聞いたことはない。

▼東南アジアの華僑社会では、タイガーバームという日本のメンソレータムのようなものが、お土産としてよく買われていた時代があった。それこそ昔は、タイガーバームに阿片が入っていた。これが、頭痛などに効いたのだ。その後規制されたが、得てして麻薬は、人類が生活していく上できわめて密接な位置に存在した。

▼思えば、アンパンの典型的な形状は、上の表面に芥子(ケシ)の実が使われている。芥子は阿片の原料だが、種自体は無害だそうだ。アンパンを食べて、ヘロヘロになっては、これまたえらいことだ。

▼しかし、なんといっても酒が一番グレーゾーンだろう。なにしろ、基本的に自由化されているため、オーバードーズ、いわゆる急性アルコール中毒で毎年3万人が死亡している。これは、交通事故並みの確率ということになる。依存性からいっても、無理やり麻薬との間に線を引いているものの、ほどほどにということは言うまでもない。

▼ちなみに、バーナンキ連銀議長や安倍首相が旗印にしている経済学者のフリードマンは、この麻薬に関しては、完全に解禁論者だ。潰れるものは、勝手に潰れてしまえということなのだ。要するに、それが「淘汰」だ、ということらしい。もっとも、バーナンキ議長も安倍首相も、だからといって麻薬解禁に賛同するわけはないが。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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