忍者ブログ

増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第137回・悪魔が棲むNYの秋

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

【閑話休題】第137回・悪魔が棲むNYの秋

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-09-17 18:30:00]

【閑話休題】第137回・悪魔が棲むNYの秋


▼昔からの経験則で、10月を中心とした前後3カ月( 9~11月)には「悪魔が棲む」と言われてきた。それは、1929年の大恐慌や1987年のブラックマンデーなど、歴史的な暴落が10月に発生することが多かったからだ。

▼1960年代くらいまで、アメリカでは「9月危機説」と言われ、9月に暴落や、大幅な株価調整をすることが多いとされていた。ところが、70年代以降は、それが10月にすりかわった。70年代というと、いわゆる指数連動型のインデックスファンドが世の中に登場し、隆盛を極めて行ったことと、ちょうどタイミングが一緒である。

▼このため現在、10月を中心とした前後3カ月は、非常に相場が波乱含みになると言われている。要因としては、米国の投資信託が10月をその年度の損益通算の締め切りにしていることにある。

▼さらに、時代が下るとヘッジファンドも登場、彼らは11月にその年度の決算を迎えるものが多いため、両者の売り圧力が重なる10月は、一段と警戒されるようになったというわけだ。

▼9月なのか、10月なのか、いずれにしろ秋は要注意ということなのだが、これが当てはまらなかった年がある。米国の量的緩和、QE2、QE3が発動された年は、これがまったく効かなかった。秋の相場は強かったのだ。

▼ちょうど今回は、連銀が量的緩和策の出口を探しているタイミングにある。過去QE1、QE2をやめる直前から、相場は下落した経緯がある。しかし、今回は「やめる」わけではない。買い入れ資産の金額を「減らす」だけであるから、量的緩和は持続するのである。これは、話が微妙だ。

▼実際にやめるのは、買い入れそのものをやめることであり、同時にそれは利上げに踏み切るときでもあるから、どう考えても来年の春くらいではないか、と想像できる。こう考えると、どうも目先は、この秋に悪魔がいつものように高笑いするかどうか、見定めにくい。

▼地政学的な突発事件による暴落はいざ知らず、純粋に経済的要因で暴落が発生するときには、決まって「そろいの条件」がある。まず、長短金利がきわめて高い水準に上昇してきていること。次に、それにもかかわらず、株価は短期的にせよ、まったくこれを無視して「史上最高値」ないし、それに準ずる高値をひたすら更新し続けているということ。そして、最後に景気の終焉の予兆である商品市況が、最高水準から下落の一途をすでに辿っているということ。

▼暴落を用意するこれら三つの要件は、現在、一つもそろっていない。強いていえば、米国の主要株式指数が史上最高値圏であるということは言える。が、肝心の金利は未だに短期はゼロ金利、長期でも3%以下という、かつてなら不況期における金利水準に位置している。商品はそもそも元気がなく、盛り上がった後の下落相場などというものも存在しない。

▼こうなると、よく言われる秋の暴落は、今年はほとんどその可能性がない、ということになる。せいぜいあっても、大幅な株価調整までなのだろうが、それも日米市場に限らず、夏場にけっこう深押しを済ませている。この毎年のアノマリーとも言える秋の相場波乱を、いまや誰も彼もが知っていて周囲では警戒心を募らせているわけだが、得てしてこういうときには逆のことが起こる。

▼相場というのは不思議なもので、みんながそう思うと、そのようになってしまうという側面もある。一方、みんながそう思うと、それに対処するポジションを事前に組んで準備してしまうために、実際、その局面に至ったとき、実は何も起こらない。それどころか、「なんだ、こんなものか」と慌てて元のポジションに戻そうとして、まったく逆の動きになってしまうこともある。

▼だから、自分がどう考えるかが大事なのではない。何より大事なのは、「みんながどう思っているか」を見定めることと、それに対して「みんながどう事前に対処しているか」を知ることなのだろう。

▼今のところ、みんなはこの秋を非常に警戒している。これが事実のようだ。そして、一番先高感のある日本株においてさえ、外国人を含め、これといって本格的、積極的に買いポジションを積み上げているという様子はない。となると、指数的にはこの秋、それほど強い相場は期待できないにしても、大きく下がるというリスクも、例年ほどは考えられないかもしれない。

▼週明けのFOMC( 17-18日)は、それを見定める一つの試金石になるだろうと、おそらく「みんな」が固唾を呑んで見守っている。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



日刊チャート新聞のコンテンツは増田足のパソコン用ソフト、モバイル用アプリから閲覧可能です。

15日間無料お試しはこちらから
https://secure.masudaasi.com/landing/pre.html?mode=cs
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。