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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第164回・食物連鎖のなれの果て

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【閑話休題】第164回・食物連鎖のなれの果て

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-10-28 18:30:00]

【閑話休題】第164回・食物連鎖のなれの果て


▼河豚(ふぐ)というのは、冬の料理に欠かせないものになってきたらしい。問題は、あの毒だ。私はもともとあの毒は、河豚が生来持っているものだと勝手に思っていたのだが、どうもそうではないらしい。

▼青酸カリウムの500倍くらい毒性(テトロドトキシン)があり、どのフグも内臓には毒が含まれているし、皮や筋肉に毒が含まれるフグもいる。しかし、フグを無毒の餌で育てていると、大きくなる頃には内臓も無毒のフグになるそうだ。

▼つまり、フグ毒の原因とされているのがある種のバクテリアで、フグが何かと一緒にそのバクテリアを食べるとフグが猛毒を持ってしまうと言われている。これは、そのバクテリアを取り込んだプランクトンを別の貝や魚が口にして、それらをフグが食べた場合でも同じである。

▼食物連鎖の結果、生物の体内に蓄積しやすい物質が上位の捕食者に集中していく現象を、「生物濃縮」という。この現象がこうしたフグの毒性を生み出したというのであれば、地球上で最上位の捕食者である人間は、いったいどのような副産物を体内に抱え込んでいるのだろうか。

▼鉛をはじめ、近現代の世界はさまざまな毒を垂れ流し、それが食物連鎖を経て、最終的に人間の口から体内に蓄積されてきた。こうした物質的な毒を、ともするとわれわれは非常に問題視するのだが、実はもっと怖い毒がある。

▼それは毒性物質の情報だ。なぜなら、野菜や果物、家畜などに与えられた毒性物質の情報は、彼らの持つ遺伝子に書き込まれてしまう。物質的な毒は取り除けても、情報的な毒は消すことができない。遺伝子に書き込まれたデータは、世代を経るごとに、それに適応しようとする。いわゆる進化である。しかし、それは、同時に何かそれを邪魔するものを切り捨て、失っていく退化も促進する。

▼欧米民俗学者の調査によると、戦前のバリ島では、農民たちの間で、テレパシーによる簡単な会話通信が行なわれていたことが報告されている。山仕事に出かけた夫に家にいる妻が、「お昼ご飯ができたよ」とテレパシーで連絡すると、夫も「今から帰る」とテレパシーで応える。

▼こうした類いの、ごく簡単な伝達なのだが、これが日常的にバリでは行なわれていたらしい。実際、外国人がバリに居住した場合、これと似たような現実に遭遇して当惑する事例が、今でもまだあるようだ。このような“伝達手段”は、ラジオ、テレビ、電話など科学技術によって、さすがのバリでも失われつつあるようだが。

▼こうした例ならまだしも、明らかに肉体的な変化、それも変質を伴っていくとしたら、クローン問題がある一方で、予期せぬDNAの異質化を私たちの科学は、今まさに促進しているかもしれない。正直なところ、いったい人間の肉体に何が起こるのかということを、科学者でさえまともに考えている人は少ないだろう。

▼それが100年後、あるいは1000年後に、人間という生物が恐るべきハンディキャップを背負わなければいけないとしたらどうだろうか。食物連鎖の頂点に立っていることを忘れた愚かなわれわれ人間は、少なくともこの地球で生きる権利を、この時点で放棄してしまっているのかもしれない。古代ギリシャの哲学者、アリストテレスが言ったことは本当かもしれない。
「世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わっていくだろう。」

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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