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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第165回・1万年に一回

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【閑話休題】第165回・1万年に一回

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-10-29 18:30:00]

【閑話休題】第165回・1万年に一回


▼鎌倉は長谷の大仏が、なにゆえ野ざらし状態なのか。これについては、二度の台風と津波によって、大仏を囲っていた伽藍(がらん)が破壊されてしまったためと言われる。もっとも、二度目の明応地震(室町時代後期)による津波のときには、すでに伽藍はなかった。大仏そのものが、現在と同じように露出して端座していたらしく、一度目の津波が長谷にまで到達していたことは間違いない。

▼近年、地球温暖化の影響なのだろうが、台風も巨大化している。一方、津波はたいてい地震によって発生するが、これも世界各地で大規模なものが多くなっているような気がする。

▼ところがこの津波、なにも地震だけで発生するとは限らない。それこそ1万年に一回、地球規模でとてつもない津波が繰り返されていたようだ。実際、シチリア島で大量に出土したカバの化石などは、海抜百メートル以上のところに密集している。これは、津波で押し上げられたという説がある。北米中西部に鯨の化石が発見されているが、これも津波で内陸部奥地にまで押し流されたと言われる。

▼決定的なのは、シベリアのマンモスだろう。氷土の中からこれまた群れで発見されたため、肉などはまだみずみずしいほどだった。もともとマンモスは、温帯から熱帯地域での生態を持つ。それが、ツンドラの中から群れで発見されたというのは、いったいどういうことか。ツンドラとは、一年中溶けることのない永久凍土が広がる地域である。

▼一番簡単な仮説として言われているのは、そもそもシベリアは温帯だったというものだ。なぜ、それが今では寒帯になっているのか。その謎は、地球の地軸の回転、いわゆる「ジャイロスコープ運動」が鍵を握っていると言われる。

▼地球には地軸がある。この地軸とは、地球が自転する際の軸であり、北極点と南極点を結ぶ運動しない直線を指す。公転面の法線に対して、約23.43度傾いている。いわゆる地球の「傾き」である。言葉では分かりにくいが、公転面とは惑星や衛星が、太陽などのまわりを周回する際の面のこと。法線とは曲線上のある点において、接線に垂直な線のことをいう。

▼そして、地軸は自転しながら、傾きを変える。コマを思い出してもらえれば分かりやすい。コマは自分で回転しながら、その軸も傾きを変えながら回転している。これがジャイロスコープ運動だ。

▼つまり、地球の地軸の傾きは、コマのそれと同様に最大と最小になることを繰り返していることになる。これを地学的に「歳差(さいさ)運動」と呼び、その周期は約2万5800年であるという。ということは、半周で1万2900年になる。ちょうど1万年前ごろに前回の氷河期が終わっているが、これと符号するのだろうか。

▼さて、マンモスである。もしシベリアがもともと温帯であったのに、このジャイロスコープ運動によって地軸が動き、現在の寒帯地域に移動したとすると、話のつじつまが合ってくる。南極・北極の氷がいっせいに溶解し、数兆トンもの水が海に発生した。これが巨大な津波を引き起こし、大陸内部にまで深く侵入したわけだ。

▼だからだろうか。マンモスは、みな同じ方向に斃(たお)れており、いわば即死状態で発見されている。なぜ即死なのかが分かったかというと、胃などから発見される食物が未消化のままだったからだ。しかも状況からいって、死後急速に冷凍化していることも判明している。

▼つまり、地軸の変動によって南北両極の膨大な水が溶け、これが大津波を引き起こし、マンモスを片っ端からなぎ倒した。津波が引いたあと、寒帯に流されたマンモスは、一気に冷凍化された。乱暴な説だが、要するにこういうことではないか。

▼この仮説にはまた異論もあるらしく、必ずしも確定した定説にはなっていないようだが、地球規模の話だけにダイナミックな歴史を想像させてくれる。世界中の地層で、おおむね海抜100メートル以上のところに、最大海抜の残照が認められている。旧約聖書に出てくる大洪水とノアの箱舟の物語も、あたら作り話とは言えない真実味があるというものだ。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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