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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第282回・愉快な仲間たち

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【閑話休題】第282回・愉快な仲間たち

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-04-23 15:35:00]

【閑話休題】第282回・愉快な仲間たち

▼ジョリー・ロジャーズ。髑髏(どくろ)をあしらった海賊旗のことだ。「愉快な仲間たち」というほどの意味だ。

▼語源は正確にはわかっていない。さかのぼれる限りでの初出は1724年に出版されたチャールズ・ジョンソンの『海賊史』だという。その中で1721年にバーソロミュー・ロバーツ、1723年にフランシス・スプリッグスとがそれぞれの旗を「ジョリー・ロジャーズ」と名づけたと引用している。ただし、両者の旗とも髑髏のデザインではなかったようだ。

▼リチャード・ホーキンスが1724年に海賊に捕らわれた際、彼らが髑髏の旗を掲げており、それを「ジョリー・ロジャーズ」と呼んでいたと記している。このへんから、わたしたちにも映画でお馴染みのあの海賊旗(髑髏と、交叉する二本の大腿骨)とジョリー・ロジャーズが、合体していったようだ。

▼カリブの海賊(とくにカリブ海からアフリカ沿岸、インド洋までの海域)には、暗黙のルールがあったようだ。海賊が船や港を襲撃する時は常に「海賊旗」を掲げる必要があった。すなわち「襲撃する」という意思表示のために用いられていたことが多いということだ。

▼相手に降伏を求め、「然らずんば、汝の運命かくの如し(殺されて骨と化す)」という意味があったといわれる。襲われた船は、抵抗する術がない場合降伏の印に白旗を掲げ、拿捕される。

▼こういった無抵抗の降伏の場合、海賊は船や乗組員には危害を与えることなく、ただ略奪を行って去っていく。しかし降伏がなされない時は、海賊旗は降ろされ、代わりに「赤旗」を掲げ、容赦ない攻撃を加える。また、逆に正規海軍の軍艦は「海賊旗」を掲げる船に遭遇した場合、その船は「海賊船である」とみなし、警告することなく攻撃、撃沈することが出来たようだ。

▼最も、「ジョリー・ロージャーズ」を掲げることなく、いきなり「赤旗」を掲げてきたら万事休すだ。ハナから皆殺しを目的に襲ってくるということだ。この殺戮の方法は、常軌を逸するほど残酷なものが多い。

▼海賊、とくに1650年代から1720年代( 17世期後半から、18世期初頭)が、わたしたちの知っているカリブの海賊たちのいわば黄金期だった。英国領ジャマイカの副総督にまで栄達し、その初期、最も海賊らしい遠征と戦いを繰り返したヘンリー・モーガンに始まり、サーの称号さえ得て、珍しく「畳の上で死ぬことができた稀有な海賊」フランシス・ドレーク。未だに財宝の行方が取りざたされ、死刑の理由も明確でないまま、ロンドンのテムズ河畔で縛り首のまま晒されたキャプテン・キッド。験(げん)を担(かつ)ぎ、女の乗員を忌み嫌う海の世界で、きわめて例外的な男装の女海賊二人組、アン・ボニーとメアリー・リードなど、映画や小説の題材には事欠かない。

▼ジャマイカのポート・ロイヤルなどを中心に、大海原を暴れまわった海賊たちには、面白いくらい厳格なルールがあったようだ。たとえば、襲撃の場合(「赤旗」を掲げたときだ)、どういうわけか老人と子供の捕虜だけは、例外なく丁重に扱われたという。このへんに、海賊たちの独特のルールがかいまみえる。

▼鹵獲(ろかく)した戦利品の分配にも厳密なルールがあったし、働きとそれに見合う報償に関して正当な訴えを起こすこともできた。負傷した場合の、保証にいたるまで、海賊集団の中には、かなり細密に渡って「契約」が存在していたらしい。

▼そのルールの精神は、実力主義にして、平等主義なおかつ、民主主義が貫かれており、当時王制による封建社会が常識だった時代に、ある意味画期的なことだった。だから、拿捕された側の乗員たちの中には、海賊に転身してしまうものも後を絶たなかったらしい。無法の中にも、その無法を維持するための法が存在したことになる。

▼もちろん、しょせんは掠奪という犯罪行為にほかならないので、なにを言ったところで、ほめられた所業ではないのだが。

▼ちなみに、ディズニー製作の映画に「カリビアン・パイレーツ」というシリーズ物があるが、ことごとく興行収入面では大ヒットを飛ばしてきた。従来、ハリウッドでは、「海賊物」はヒットしないというジンクスがずっと続いていたらしいが、このシリーズはその常識を覆す結果となった。同シリーズ第5作目は、2015-16年公開予定という。詳細は不明。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄



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