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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第365回・日本を好き? 嫌い?

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【閑話休題】第365回・日本を好き? 嫌い?

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2015-06-05 16:25:00]

【閑話休題】第365回・日本を好き? 嫌い?

▼これは、わたしの個人的な性格なのか、それとも日本人のもっている特質なのか。やけに人の目が気になるのだ。どう思われているかとか、どういう評判だとか、嫌われているのではないかとか。実にいじいじした嫌な部分だ。一方で、腹がすわってしまうと、「知ったことか」となってしまい、唯我独尊を決め込む。この特質は、わたし独自のものか、日本人に多く見受けられるものなのだろうか。

▼ということで、日本の海外での評判を見てみよう。なにしろ、いまだにカビのはえたような植民地史観や、反帝国主義史観、旧コミンテルン史観のままで、日本を誹謗中傷するものが内外にあまりにも多く、鬱陶しいのだ。

▼外務省が行った、ASEAN諸国民の対日観の調査を見てみよう。性別、年齢、帰属する民族、所得などバランスを取って、ASEANで行ったアンケート調査だ。質問は、「最も信頼できるのは、どこの国か?」というものだ。

(最も信頼できる国は?)

▼なんと、ダントツの33%で日本。二位のアメリカ16%の倍も引き離している。ちなみに、中国は3%、韓国は2%である。二桁の%は、日本とアメリカだけという結果だ。(これが、中東でやったら、またまったく違うのだろうが。)

▼中国の名誉のために書いておくと、同じ調査で、質問が「最も重要なパートナーはどこの国か?」というのがある。さすがに中国が48%とアメリカの47%をわずかに超えるくらい重視されている。ところが、日本はと言うと、驚くなかれ65%とこの質問でも圧倒的なのである。

▼もっと感情的な、「好きか、嫌いか」というより直接的な問いかけに対して、どういう反応をするかというと、上場企業のアウンコンサルティングが行った調査がある。これは、アジア10カ国で行ったものだ。

(日本を好き? 嫌い?)

▼この調査によると、韓国・中国を除く「すべての国」で、85%以上が日本を「大好き」か「好き」と回答している。あの中国でさえ、過半数以上が「大好き」「好き」という結果だ。韓国では、過半数以上から嫌われている。

▼中国人は、正直日本と日本人を知らなかったという実態がある。近年、爆買いではないが、どっと世界に観光で訪れる中国人が増えた。直接日本と日本人を知る機会は、劇的に増大している。彼らが、歴史の教科書で学んだところから得られた日本人の印象やイメージといったものは、ことごとく破砕されているのが実態だろう。

▼もちろん本物を知れば知るほど、良い意味で驚嘆することもあれば、逆に失望する面もあるだろう。それでいいのだ。わたしたちが知りたいのは、彼らが事実を見たときに、どう思うかということなのだ。

▼その点、不思議なのは、一番日本人の良し悪しをわかっているはずの韓国人が、かくも日本人を嫌いというのは、単に歴史に関する偏向的な教育によることだけだろうか。どうも違うような気がする。

▼さて、このアウンコンサルティングの調査では、日本大好き・好きのトップが、フィリピン、ベトナム、インドネシア、タイと、およそ想像に難くない結果が見られる。とくに「大好き」率のトップはフィリピン人である。「大好き」「好き」の合計では、ベトナム人がトップである。

▼大戦後、残留日本兵がベトコンに合流して、北ベトナム軍を軍事教練し、フランス軍をたたきだし、米軍とも闘い、統一共産ベトナムの独立建国に寄与したベトナムと、逆に日本人が「侵略者」の汚名を残したフィリピンとで、日本「大好き」「好き」がトップを占めるというこの皮肉な結果からは、要するに過去の歴史のいきがかりというものが、果たしてどのくらい国民感情に影響を与え、残すかという議論の無意味さすら感じてしまう。要するに、その後、現在まで、いったいわれわれはその国に何をしたのか、ということに尽きるようだ。

▼海外メディアによる調査も紹介しておこう。名門英国のBBCによる調査だ。それによると、なんと日本は世界で「最も良い影響をあたえている」トップである。もちろん悪い影響の部分もあるのだが、これもその少なさでトップクラスだ。

(世界で最も良い影響をあたえている国は?)

▼さて、肝心の軍事同盟国・アメリカでの評判を見てみよう。これが揺らいでいるようでは、先の大戦で亡くなった英霊たちに、あわせる顔もない。その結果だが、外務省がASEANで行ったのと同じ手法でアンケート調査をした結果がある。一般市民対象に行ったものと、いわゆる有識者(要するに著名人)対象で行ったものだ。一般市民対象に行ったところでは、76%が「日本を信頼できる」とし、有識者は93%が「信頼できる」としている。やはり、知っていることが重要だ。なにしろ、一般市民といったら、日本に来たことがない人も大勢いるだろう。しかし、有識者ともなれば、日本に一度もきたことがない等と言う人は、まずいないはずだ。

▼ところが、日米協力関係を、「極めて良好」あるいは「良好」と回答したアメリカ人は、一般市民で58%と一気に落ちる。このへんがよくわからない。貿易摩擦がどうのこうのとか、いうのであろうか。ところが、これまた不思議だが、有識者の間では86%なのである。

▼アメリカと付き合うに当たっては、この差をよく吟味して、考慮、対策する必要がありそうだ。一様ではない、ということだ。

▼さて、こうして見ると、総じて、日本の評判は「すこぶる良い」という結論でよさそうだ。問題は、その理由である。アンケートでは、理由も問いただしているので、その中でもっとも多いものを、各種アンケートを通じてまとめたところ、以下のようになっているらしい。

A世界中に資金提供・技術提供し、国際貢献している。
Bにもかかわらず、内政干渉しない。
C第二次世界大戦以来、一度も戦争をしていない。
Dすぐれた製品を作る。
E観光で世界を訪れ、多くの消費をし、マナーも良い。
F白人による支配を止め、有色人種に希望を与えた国としての評価。

▼どれもこれも、文字通りといったところだろうか。各種アンケートをこうやって並べてみると、日本を嫌いな国のほうが、きわめて例外的であり、「異常である」という見方もできる。

▼では、アンケートではなく、データなどの立証など必要がないくらい、ごく自然に、とりわけ国民感情的に日本を良く思ってくれているところをざっと上げてみると、パラオ、台湾、モンゴル、トルコ、インド、ポーランド、アルゼンチン、ブータン、ウズベキスタンと続く。

▼人間誰でもそうだが、好きだと思ってくれている人のことは、こちらも好きになるものだ。嫌いだと言われれば、好きになりようもない。しかも、その嫌いだの理由が、自分に身に覚えのない、親父や爺様の時代のことであれば、なおのこと。じゃあ、今生きて、お前と話をしているこの俺を、一体どう思ってるんだ?と言いたくなる。

▼最後に、今度は逆のアンケート調査を見てみよう。自分の国に誇りを持っているか、という質問だ。「誇りを持っている」と答えた率の高い順に、主要国を並べた表がある。

(自分の国に誇りを持てるか?)

▼主要国だけだが、トップはオーストラリアだ。そして日本は、最下位。辛うじて、50点以上なのだが、この世界から「好かれている」現実と、「誇りを持てない」現実のギャップは、いったいなんだろうか? これまた日本人特有の、「謙虚さ」が、おそらく半分を占めているような気がする。半分が「自虐的な発想」という民族性の問題かもしれない。

▼まあ、あまり「誇り」などというものを意識しないほうが良いと、わたしは個人的には思う。誰だってそうだろう。誇りを心の中に秘めているうちは美徳にもなるが、始終表に出しているやつに、ロクなやつはいない。国家も同じことだ。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄


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