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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第391回・藪(やぶ)の中〜そこに光るプロビデンスの目

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【閑話休題】第391回・藪(やぶ)の中〜そこに光るプロビデンスの目

【閑話休題】

[記事配信時刻:2015-11-13 17:45:00]

【閑話休題】第391回・藪(やぶ)の中~そこに光るプロビデンスの目

▼本日は、13日の金曜日だ。俗信で不運な一日とされる。かつて、無神論者のバーナード・ショーに、記者がいじわるな質問をした。

「13日の金曜日には、悪いことがあるといいますが、本当でしょうか。」

当然、記者は「あるわけないよ。馬鹿馬鹿しい。」という答えを想定していた。
ショーの答えはこうだった。

「本当ですとも。どうして13日の金曜日だけ、悪いことが無いといえましょうか。」

▼確かに、野田改造内閣(民主党)が発足したのは、2012年1月13日の金曜日であった。歴代内閣で、13日の金曜日に組閣したのは、これが初めてだったことを考えると、非常に不吉な日である。実際、ろくなことがなかった。

▼まるで冗談でも書いているような感じに見えるかもしれないが、一面大真面目である。野田内閣といえば、民主党。民主党といえば、これまた変人なのか、頭がどうかしているのか鳩山何某(なにがし)という自称政治家がいる。

▼この人物、わたしには、どうもかつての近衛文麿とイメージがダブる。ボンボンで既成の秩序の上にあぐらをかき、なに不自由のない生活が約束されている事実上の特権階級だけに、中途半端な良心や贖罪の意識から、国を転覆させてしまうような反体制派に対し「ものわかりが良く」、結果うまく利用されては、最終的な結末に自身がうろたえるという、お定まりの醜態のイメージである。

▼韓国の慰安婦慰霊碑かなんぞの前で、いきなり偽善者さながらぬかずいてみせたり、南京大虐殺に日本は謝罪すべきだと、さも誠意に満ちた人格であるかのように振舞い、中国に理解を示したり、今年はロシアにいって、クリミア併合を肯定し、日本は対ロシア制裁を解除すべきだと迎合してものを言ったり、日本の名誉と国益を毀損することをあたかもライフワークのようにしている、さんざんな人物である。この鳩山何某がクリミア訪問をしたのも、3月13日の金曜日だった。

▼話は飛ぶが、この鳩山何某の祖父・一郎(初代自民党総裁、第52-54代首相)は、フリーメーソンだった。これは公式にはっきりしていることだから間違いない。孫の邦夫(先述の鳩山何某の弟)の妻の父親もそうである。ただ、邦夫によれば、自分は誘われていない、と自嘲気味に述べている。「兄貴には誘いが来てるのかなあ・・・」

▼いったい、フリーメーソンとはなんのか。よくわからないのである。中世、石工の組合から発したとも言われているが、起源も実際はっきりしない。古代エジプトに起源があるとも言われるし、一方では裏の世界で暗躍する秘密結社であるという側面が喧伝されてしまい、なんでも謀略はフリーメーソンだ、という話にもなりがちだ。

▼現在、フリーメーソンの総本部は、英国にある。グランドロッジと呼ばれており、各国に支部としてのグランド・ロッジがあり、そのさらに支部として、ロッジが複数存在している。

▼フリーメーソンの徽章は、有名な「定規とコンパス」である。その中に、「G」がおかれている。

(フリーメーソンの徽章)

結社の目的は、「会員相互の特性と人格の向上をはかり、良き人々をさらに良くする」ということになっている。

▼この定規とコンパスの結合は、形状的にダビデの星(ユダヤのシンボル)を示し、男女、陰陽、天地、精神と物質など世界の二元性の融和を表現している。中央にある「G」は、至高の存在を意味しているが、神God、幾何学Geometry、栄光Glory、寛容Grandeurなどを意味する。

▼さらに意味深長なのは、「G」のもう一つの意味である、グノーシスGnosisであろう。グノーシスというのは、オリエントにもともと起原を持つ、古代キリスト教の中の最大の異端派である。

▼やや脱線するが、ここでグノーシス派の教義を、ざっくり確認しておこう。グノーシス派=フリーメーソンではないだろうが、かなりこの流れを組んでいる可能性は高いので、原点の一つであるグノーシス派基督教団の教義を見ておいて損はない。

▼こんな具合である。

・この世を創造した神(旧約聖書のヤハウェ、エホバ)は、唯一絶対神ではない。全能にはほど遠い、無知で傲慢な劣位の神である。
・この物質世界は、われわれを肉体に閉じ込めておく邪悪な世界である。救済とは、この物質世界から逃れ、天の家に還ることである。
・悔い改めても、善行を積んでも、意味はない。唯一、「真理」を知ることによってのみ、救済される。
・すべての人間が救済されるわけではない。救済されるのは、内に輝く神性を宿す人間だけである。

代表的なところはこんなものだろうが、細かいことに首を突っ込んでいけば、マグダラのマリアはイエスの子を生んだとしていたり、教会のような権威を完全否定していたり、と古代基督教団にあっては、かなり異端派ぶりを発揮していた。古代、カトリック教団によって異端として弾圧され、グノーシス派が奉じる多くの「聖書(外伝)」は焚書坑儒されている。わずかに考古学によって、トーマスの福音書、ユダの福音書などの断片が発掘され、次第にその内容が明らかになりつつある。福音書は、カトリックやプロテスタントが聖書としている5つの福音書だけではないのだ(映画「ダ・ヴィンチ・コード」のモチーフである。)。

▼なんといっても有名なのは、そのシンボルである。「プロビデンスの目」と呼ばれる、「真理の目」だ。

(プロビデンスの目)

ふつうこれは未完成のピラミッドの頂上に、真理の目が輝いている。このイメージは、驚くべきことにアメリカ合衆国の「国章」そのものである。

(アメリカ合衆国の国章)

なんと、米ドル札にも、これが描かれている。

(米1ドル札 裏側の左にピラミッドとプロビデンスの目がある)

そして同じものが、フランス革命の「人権宣言」のトップにも置かれている。

(フランス人権宣言 全文表題の上にピラミッドとプロビデンスの目が輝く。)

現在、マンハッタンにある「自由の女神」は、当時フランスのフリーメーソンから、米国のフリーメーソンに送られたものにほかならない。こういう事実を並べていくと、だんだん背筋が寒くなってくる。では、一体歴史上、どんな人物がいたのであろうか。

▼米国では、ベンジャミン・フランクリン(独立宣言文草案者)、マシュー・ペリー(黒船、日本遠征隊の指揮官)、マッカーサー、マーク・トゥウェイン(小説家)、フォード、カーネル・サンダース(ケンタッキーフライドチキン創業者)、コーデル・ハル(対日戦の事実上の最後通牒「ハルノート」をつきつけた国務長官)、ジョン・エドガー・フーバー(FBI初代長官)、ジョン・スタインベック(小説家)、ジョセフィン・ベーカー(ジャズシンガー)、デューク・エリントン(ジャズミュージシャン)、クラーク・ゲーブル(俳優)、ジョン・ウェイン(俳優)など多彩な人物の加入者がいる。歴代大統領のうち、初代ワシントンを始め、合計15人もいるし、ホワイトハウスを設計した人物も、フリーメーソンであった。

▼なにやらこう聞くと、結構すごい組織なのかもしれないと思ってしまう。欧州にいたっては、もっと凄い。クーベルタン男爵(近代オリンピックの創始者)、モンテスキュー、ヴォルテール、ジョゼフ・ギヨタン(ギロチンの考案者)、ミラボー、ラファイエット、サンシモン、クロード・リール(「ラ・マルセイエーズ」の作詞・作曲)、ナポレオンとその兄弟たち、スタンダール、ヴィクトル・ユゴー、ギュスター・エッフェル(エッフェル塔建設者。ガーターベルトの発案者でもある。)、バッハ、シラー、ベートーヴェン、ハイネ、シュリーマン(トロイ遺跡発掘者)、ブラームス、ヘルマン・ヘッセ、モーツアルト、ガリバルディ(イタリア統一の英雄)、プッチーニ、ダーウィン、ジェンナー、ネイサン・ロスチャイルド(英ロスチャイルド財閥の開祖)、コナン・ドイル、チャーチル、アレクサンダー・フレミング(ペニシリン発見者)、トーマス・リプトン(紅茶王)、オスカー・ワイルド(詩人、作家)、フランツ・リスト(ハンガリーの作曲家)、アンリ・デュナン(赤十字創始者)、ユング(フロイ
トと並ぶ、心理学の大家)、オナシス(ギリシャの海運王)、シベリウス(フィンランドの作曲家)、プーシキン(ロシアの詩人)、バクーニン(無政府主義の教祖)、ツルゲーネフ、トルストイ、シャガール(画家)、タゴール(インドの詩人)、ホセ・リサール(フィリピン独立運動家)・・・もう挙げていったら、それこそキリがないのだ。

▼幕末に日本にきた長崎のグラバーはフリーメーソンであったし、彼に関わった志士たちの多くもフリーメーソンになったと言われる。伊藤博文などその典型だとされるが、坂本龍馬などは、もろにそのメッセンジャーボーイだったとも言われる。もっとも噂の域を出ないので、本当のところはわからない。三菱財閥の祖・岩崎弥太郎もフリーメーソンだったと言われており、龍馬暗殺にも弥太郎がからんでいるという説はある。

▼日本の著名人でフリーメーソンであることがはっきりしているのは、先の鳩山一郎のほか、東久邇宮稔彦王(ひがしくにのみやなるひこおう)のような皇族もいるし、びっくり仰天なのは、小泉純一郎、進次郎親子が近年入会しているという話だ。どうも、嘘ではないらしい。ただ、これは公に裏がちゃんと取れている話なのか、わからない。小泉元首相は、米ブッシュ元大統領と非常に親しかったが、ブッシュは「スカル&ボーンズ(髑髏と骨)」というフリーメーソンの下部組織のメンバーであったことから、もしかするとブッシュから入会を勧められたのかもしれない。

▼ただ、おかしな感じもするのだ。こんな話が表にでてきているくらいである。秘密結社で、国際政治に隠然たる威力を持っているにしては、あまりにも表で騒がれていすぎやしないだろうか。本当の秘密結社というものは、誰にもその存在すら知られないというのが普通のような気がするのだ。

▼あるいは、友愛を旗印にしたこのフリーメーソンというものは、本物の恐るべき秘密結社が、それをカモフラージュするための、ダミーの組織なのかもしれない。本物は常に藪の中にいて、正体を見せないものだ。フリーメーソンが、アンテナの役割を果たす触手だとすれば、本体はもっと恐るべきものだということになる。

▼かといって、ただの友愛クラブであり、名士としての名詞がわりのようなものにすぎないとしたら、これまた不可解なことがある。たとえば、カトリック教会は、フリーメーソンを理神論であるとして排斥している。

▼理神論とは、世界や宇宙の創造者としての神は認めるが、人格的存在としては認めず、人間理性への介入はありえない、という立場である。ただし、フリーメーソン加入に際しては、本人の宗教の別をとくに問われない。

▼こうしたフリーメーソンに対して、カトリックは聖職者・信者のフリーメーソン加盟を禁じており、破門に付している。プロテスタント各宗派も、こぞってフリーメーソンを黒魔術集団、オカルト集団として、忌避している。イスラム圏では、ユダヤ組織だといって、これまた敵視している。

▼こうなってくると、とてもただの友愛クラブとは言いがたい。やはり、表のダミーとは別に、その本当の正体というものが、裏に存在しているのかもしれない。なにしろ、蕎麦屋の亭主が、フリーメーソンに入っているくらいであるから、それが国際政治を動かしているとも、到底思えない。

▼と思えば、米NBAのバスケット選手だったデニス・ロッドマンは、フリーメーソンである。彼は、たびたび北朝鮮を訪問しており、これはよくニュースでも取り上げられている話だが、金正恩総書記と懇意なのである。一説には、金正恩がよく懐に手を入れる仕草をするが、(ナポレオンもこの仕草で有名であった)これは、フリーメーソンの特徴的なサインなのだそうだ。ナポレオンを気取っているだけだ、という説もある。金正恩が欧州での学生時代にフリーメーソンに入っていたのだ、という説もあるのだが、当時はまだ未成年なので、加入できなかったはずだ、とも言われる。

▼日本でも意外な人物がフリーメーソンである。たとえば、テレビCMでおなじみの、高須克弥氏だ。高須クリニックの総帥だ。彼も、フリーメーソンであり(公言している)、階級もけして悪くないようだ。

▼高須氏は、偏見の多かった美容整形という分野を、今日のような「当たり前」の認識にまで引き上げるという点で、確かに功労者であったろう。しかし、その言動は非常に不思議なものがある。

▼K-1のリングドクターで知られるようになったりしたわけだが、世界的に慈善事業を積極的に行っており、自身は京都の本願寺で得度、出家してしまった。

▼年収50億円というこの人物は、アメックスのセンチュリオンカード(いわゆるブラックカード)を持っている。

▼詳しくは知らないが、ざっとこれまで読み聞きしてきた限りでは、チベットの孤児や難民の救済にも力をいれていることから、かなり反中国的、右的な志向が強いようだ。彼の言説には、ナチスに対する高い評価も飛び出している。

「戦前、ナチスドイツの経済政策は成功したんだよ。雇用も回復しハイパーインフレも押さえ込み。全てがうまくいっていたよ。戦争に勝っていたら枢軸国が今の国連みたく世界秩序を作ってたに違いない」

「ナチスの構想は現代を凌ぐ。第三帝国が完成したのを見たかったよ。」
「ヒトラーはいくつかの間違いをしたかも知れないが(おそらくユダヤ撲滅や、戦争計画や戦略のことを指しているのだろう。筆者註。)、僕は少なくとも欲深の嘘つきではないと思います。」

※筆者注:ヒトラーは、オリンピックがフリーメーソンとユダヤによるものだと認識していたから、ベルリン・オリンピック開催を嫌がった。側近たちから、国威発揚の良い機会だからと説得されて、いやいや承諾した経緯がある。実際、第二次大戦勃発後は、多数のフリーメーソン会員が拘束され、強制収容所送りとなって殺害されている。彼らは一様に、赤い逆三角形のマーク(ピラミッドを逆さにしたわけだ)を服につけられ、フリーメーソンだとわかるようにされていた。

一方で、韓国に対する発言は、これまた興味深い。

「朴槿恵大統領は日本との摩擦を作って国内を固めたいんだよ。」
「極端なことを言っちゃえば、竹島くらい日本が制圧しちゃえばいいんだよ。」
「戦争とまではいかないにしても、国交断絶くらいはありそうな雰囲気で、圧力をかけてもいい」
「日本も『韓国からの輸入なんて必要ありません!』って開き直ればいいのに。」

ご覧の通り、なかなかのタカ派ぶりである。この高須氏が、では、フリーメーソンであるということに一体どういう意味があるのかは、当然ながら、皆目わからない。

▼ことほと左様に、なんだかよくわからないフリーメーソンだが、わたしの単純な妄想と邪推では、やはり裏に本物の正体があるのだろう、と思う。そして、ダミーとしての表のフリーメーソンは、ダミーである一方で、本体からときに利用されたりしているのだろう。一種の広告塔である。そんな気がする。

▼たとえば、ロータリークラブ創始者のPPハリス、ライオンズクラブ創始者のメルビン・ジョーンズ、いずれもフリーメーソンである。ロータリーやライオンズが、秘密結社であるとは到底考えられず、ごくありがちな名士会にほかならないのだろうが、これがまさにアンテナ、触手のようなものだろう。触手には、本体の意図はわからない。ただ、各地の名士を糾合して、重要な人材になると判断されれば、どこからか「(鳩山邦夫の表現を借りれば)声がかかる」ということになるのかもしれない。

▼会員はBrother(兄弟)と互いに呼びあう。会員は秘密の符牒(ふちょう)や握手法で「兄弟」かどうかを見分け、「兄弟」はいざという時は助け合うことになっている。ちなみに、日本のグランド・ロッジによると、世界で会員数は300万人であるという。ただ、ウォールストリートジャーナルによると、2000年代に入って300万を切り、現在は140万人としている。日本の会員数は、300人ほどだそうだ。無心論者は、加入できない。

▼日本のグランド・ロッジは、ちょうど東京タワーの足元にある。「東京メソニックビル(目ソニックとは、masonic=メイソンの、という意味だ)」にある。このビルは、戦前、日本の海軍士官の親睦団体であった「水交社(海軍省の外郭団体)」の本部ビルだったところだ。GHQによって解散させられ、空きビルとなり、それを米軍関係者がサロンとして使用始め、マッカーサーがこれをフリーメーソンのロッジにしていったようだ。

▼後、復活した水交社から返還要求訴訟が起こされたが、和解。現在に至っているが、今のビルは建て替えられており、一室には水交社の応接室が再現されている。この近辺にも、彼らは複数のビルを所有しているが、旧帝国海軍系の人脈とつながっているようなキナ臭さがある。もっとも、先の「Yes! 高須クリニック!」の高須氏は、「フリーメーソンが、闇の謀略組織だなんて、ただの都市伝説ですよお。純粋な慈善団体なんですからあ。」とのたまわっている。

▼この国際的な謀略説というのは、フリーメーソンのトップに君臨するイルミナティ(実態は、ロックフェラー、ロスチャイルドといった5家であるという説など、各種ある)が画策しているのだ、というものだ。しょせん、嘘かまことか、なんとも言えない。

▼ほんとうに「都市伝説」なのであろうか。最近の謀略的な事件を一つ見てみよう。エジプト発ロシア行きのロシア旅客機が墜落。全乗客乗員死亡という痛ましい事件があった。

▼タイミングを考えれば、誰が見ても、ロシアの中東参戦直後であるから、イスラム国あたりが、自爆テロでもやったのではないか、と考える。ロシアは否定していたが、いきなりエジプト便をすべて禁止にしたところを見ると、かなりびびっている様子。

▼ロシアは、ウクライナで埒があかず、例のウクライナ上空で撃墜されたマレーシア航空機事件でも、不利な状況がでてきているのかもしれない。この事件のほうは、まだはっきりしていないが、いずれにしろ、ウクライナ戦線での膠着状態が、経済の落ち込みを引き起こしていることは間違いないわけで、これを中国やイランと結んで、なんとか挽回しようとプーチン大統領はあがいている。

▼ロシアは、友好国のシリアにテコ入れし、これと敵対している欧米側の向こうを張って、中東でイスラム国と戦争を開始したわけだ。要は「ええ格好しい」をやったわけだが、ついでにイスラム国だけではなく、欧米側が支援している、反シリア政府軍まで叩くという余計なおまけまでやってのけた。その直後にこれである。

▼その後アメリカは、シナイ半島に潜入しているイスラム国工作員と、イスラム国の指導部との連絡を傍受、ロシア機爆破という計画成功を祝っている内容が確認されたと発表している。

▼機内に爆弾を持ち込むのは、通常なら不可能である。となると、考えられるのは、空港関係者・エジプト軍と癒着した何者かが、裏から爆弾を機内に持ち込んだか、あるいは、ウクライナ上空で爆破されたマレーシア航空機(これは、ほぼロシアの支援を受けた親ロシア派武装勢力が、ロシア軍から入手したミサイルで撃墜したと推察されている)と同じように、地対空ミサイルによる撃墜以外には考えられまい。

▼当然、イスラム国といえども、さすがに地対空ミサイルまでは入手はできない。RPGのような、いわゆる、携帯ロケット砲なら入手可能だが、離陸して9400m上空でボイスレコーダーが途絶えたことからすると、携帯型のロケット砲では届かない。1万mの射程距離以上のものとなれば、およそイスラム国が独自で所有しているということは、ほぼ考えにくい。それなら、誰がやったかということになる。

▼「イスラム国」と書いたが、本当のところはわからない。アメリカのCIAがやりそうなことでもある。あるいは、本当にどこかに存在する、裏の恐るべき組織は、イスラム国と実はつながっているのかもしれない。われわれは、イスラム国というと残虐非道なとんでもない発狂集団としか見ないが、アメリカを動かしている本当の裏の勢力は、実はイスラム国と手を握っているかもしれないのである。

▼アルカイダでさえ、もとはといえば、アフガニスタンに侵攻したソ連軍に対する、抵抗勢力としてアメリカが育て上げた化け物だったことを思えば、なにがあってもまったく不思議ではない。

▼いったい、なにが本当なのか、わかったものではない。ロシアも中国も、このところ米オバマ政権の、仲良し外交、腰の引けた世界戦略(というより、オバマ大統領自身が、外交に興味がない)によって生まれた真空地帯に、どんどん進出したのはよいが、このところそのアメリカが巻き返しを始めている。オバマ政権もすでに終わりが近づきつつある。裏の顔は、本性を表し始めているのかもしれない。

▼ロシアの中東参戦は、今回のロシア航空エアバス機爆破事件を引き起こしたと推察されるが、ロシアも下手な手を打ったものだ。ウクライナ紛争から、世界の目を中東に散らしてしまおうという魂胆もあったのかもしれないが、かえってかつてのアフガン侵攻と同じように、抜き差しならない泥沼に入りこんでしまったかもしれない。

▼ロシア機墜落が、イスラム国の自爆テロだとしたら、実に話は単純だ。しかし、もしアメリカが絡んでいるとしたら、これは恐ろしい。以前も第14回の閑話休題「歴史の闇」で書いたが、911事件ですら、アメリカの自作自演であるという可能性が濃厚なのである。よその国の旅客機を、もろとも爆破してしまうくらい、なんでもない。

▼みな、不思議に思わないだろうか。ロシアが、なぜ、ことさらアメリカを敵視するのか。あまりにも執拗に敵視するあのスタンスというものは、ロシアが意固地なわけでもなく、わたしは彼らがアメリカという国の本当の恐ろしさを身に染みて知っているからだ、と思っている。

▼キューバも、イランも、それに負けたのだ、折れたのである。中国は、気づいてきているだろうが、まだ本当にはわかっていない。ただ、だんだん気づき始めてはいるのだ。だから、中台トップ会談や、習近平主席のベトナム訪問などで、アジアにおける反中国包囲網の解きほぐしにやっきになっている。

▼しかし、中国が強引に占拠した南沙諸島の、彼らが「領海」と称する海域に、米軍は海軍艦船を露骨に航行させることで、威嚇を始めたことは、さすがに中国の心胆寒からしむるものがあったろう。アメリカは、当然、発砲されれば、ただちに攻撃・殲滅する態勢になっていたことは間違いない。挑発こそが、アメリカの真骨頂だからである。

▼今、ひそかに演じられているシナリオというものが、フリーメーソンによって描かれたものなのか、その裏の本体が画策しているものなのか、しょせん藪の中である。しかし、はっきりしていることは、アメリカという国は、けしていつまでも黙ってはいない、ということだ。もしかしたら、その藪の中には、プロビデンスの目が輝いているのかもしれない。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄


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