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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第58回・弁当の話

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【閑話休題】第58回・弁当の話

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-05-27 17:30:00]

【閑話休題】第58回・弁当の話


▼日本では、古くから弁当の習慣があり、他の諸国では例を見ないほどの発展を遂げていった。これは、日本で一般的に食べられる米(ジャポニカ米)が、インディカ米などと比べて炊いた後に冷めてしまっても、比較的味が落ちにくいからだとも言われる。

▼もともと弁当は、中国にもあったようで、辨當(べんとう)と書いた。インドでも、ダッバーという三段重ねの金属箱を吊るして持ち歩いている。欧米では、サンドイッチなどの、いわゆるランチボックスになるのだろうが、独特の食文化として多彩に発展していったのは、やはり日本の弁当だろう。

▼日本の統治期間が長かった台湾でも、弁当は根付いた。それは駅弁だ。日本では、1870~80年代に駅弁が広まったようだが、台湾でもかなり受けたようで、いまだに駅弁が存在する。

▼問題になっているのは、コンビニなどの弁当市場の規模が、極大化しているという点だろうか。全国のコンビニにおける弁当の売り上げは9900億円と、ほぼ1兆円市場になっている。このうち、一カ月に廃棄処分される弁当は160億円。年間にすると1920億円だから、全体の約2割が廃棄されているという勘定になる。いったい、この廃棄された分はどうなっているのだろう。興味が尽きない。

▼これには付随する問題もある。割り箸だ。日本の割り箸の消費量は、年間240億膳だという。ただ、平成17年以降、これは高原状態で大きく変動していない。そもそも、弁当用の割り箸は全体の消費量の15%くらいらしい。以外にも割り箸の消費量が頭打ちになっているのは、消費量の大部分を占める業務用・飲食店用の「洗い箸化」の流れが影響しているのかもしれない。

▼それに対して驚くべきは、中国の割り箸消費量の増え方である。うなぎのぼりで、現在450億膳だそうだ。現時点ですでに日本の2倍近い消費量である。人口10倍以上の国の割り箸消費量は、今後どうなっていくだろうか。

▼それはともかく、日本人の食に対するこだわり、思い入れは世界的にも際立っているのだが、中国人がびっくりという米の食べ方がある。まずは、「おにぎり」だ。そもそも、中国人には炊いた後の冷めた米をわざわざ食べるという習慣がない。次は、「振りかけ」だ。これもおかずがなくても、さっと振りかければ、とにかく米が食える。さらに、「お茶漬け」。これはお湯さえあれば、冷たい米でも、にわかに温かい食べ物に早変わりだ。エコといえば(私はこのエコという言葉が大嫌いなのだが)、これ以上のエコ的な米の食い方というのもないだろう。ちなみに私は、漬物さえあれば、むしろ白湯漬けのほうが好きなのだが。

▼この冷たいものをどうやっておいしく食べるかという点についても、日本人は弁当(駅弁)文化でその腕を磨いてきた。ローカルな話題で恐縮だが、私の地元、横浜の駅弁には大変有名な『崎陽軒のシウマイ弁当』というのがある。これは、開発当初、崎陽軒が悪戦苦闘して生み出したヒット商品だ。なにしろシュウマイというのは、本来あたたかくてナンボの食べ物。それを、弁当に使い、冷たいままどうやっておいしく食べてもらうのか。

▼実際には、ホタテなどを混ぜたりして、大変な苦労の結果、現在の崎陽軒のシュウマイができあがっている。私なども、昔は父親がよくお土産に買ってきたものだが、以来、崎陽軒のシュウマイは、冷たいままで食べている。どうも、あたためて食べる気がしないから、その意味ではすごい食品だ。こうした日本人の弁当文化と技術は、おそらく今後も、さらに研ぎ澄まされていくのだろう。アニメばかりではない。意外にも、弁当がこれからクールジャパンの目玉になるかもしれない。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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