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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第533回・疑似科学

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【閑話休題】第533回・疑似科学

【閑話休題】

[記事配信時刻:2018-08-03 16:06:00]

【閑話休題】第533回・疑似科学


▼世に、疑似科学と呼ばれるものがある。一見科学的だが、科学でもなんでもない、ただの偶然の一致を辻褄合わせしただけの、似非(エセ)科学だ。

▼一般によく知られているのが、地政学(ゲオポリテーク)である。世界の国家・民族の隆盛衰亡を、その依拠する植物学的・生物学的な視点から性格づけをし、戦争と侵略の歴史を解読、将来の予防的措置につなげようという「科学」である。

▼わたしは、これを「エセ」だとは毛頭思っていないのだが、アカデミズムの世界ではこれが通り相場であり、地政学は典型的な疑似科学である、とされている。

▼しかし、かつて1985年に倉前盛通(くらまえもりみち、亜細亜大学教授。1991年没)が著した「悪の論理」、そして3年後に改訂版として出した「新・悪の論理」では、当時いわゆる著名な識者たちの誰一人として、ソ連の崩壊など想像だにしていなかったにもかかわらず、倉前は「今世紀中に、ソ連が自己崩壊する」と予言していた。

▼実際に、ソ連が崩壊したのは1991年。倉前がその事実を知って逝ったのか、知らずに逝ったのかは不詳だが、預言は的中している。ソ連崩壊は、91年12月25日であったから、恐らく知らずに逝ったのだろう。大変口惜しい。

▼しかも、80年代からソ連が経済的に大変な問題を抱えていたことは、周知の事実だったものの、崩壊そのものが起こるとは誰も思っていなかったし、また実際の崩壊の原因は経済要因であるという見方が後日大勢になっていったのに対し、倉前は最初からロシア人と非ロシア人の人口バランス逆転現象という点から説き起こしていた。この点ではきわめて慧眼であったと言うべきだろう。

▼これを科学でないとするなら、一体なにを科学というのか、わたしにはよくわからない。こうした一般に疑似科学と蔑視されてきたものに、血液学というものがある。

▼占いのような類とないまぜになってしまう嫌いが多いため、どうしても疑似科学だとされるのだろうが、血液型というのは、わたしは馬鹿にならないと思っている。

▼かつて日本陸軍では、血液型に分けて部隊編成をして実戦投入した記録がある。それによると、O型・B型部隊は、勝ち戦に破竹の勢いを見せるが、負け戦では惨憺たる有様になるというものだった。逆に、A型は大勝ちしないものの、退却戦では見事に遅滞戦術を発揮して、先行退却部隊を逃がすことに成功したという。

▼ただ、どうもサンプルが少なかったのか、あくまで実戦といっても試験的なものに留まり、本格的な実戦に駆使されることは無かったようだ。

▼血液型というのは、大きく四種類あるわけで、わたしはそこに「違いがある」ということ自体、その血液型を有する生物体には、なにがしかの性質の差異というものが、「なければおかしい」と思っている。

▼その差異が、実際の日常生活に影響を及ぼすほど大きなインパクトがあるのかどうかは、もちろん不分明だが、人間がみな「同じだ」ということは、ありえないと思っている。

▼実はまだ読んでないのだが、今年、ビジネス社から新刊本として出版された「本当はスゴイ! 血液型」という本がある。著者は武田知宏氏である。大蔵省ノンキャリアで、退職後、出版社に勤め、現在はフリーライターだ。

▼この本が興味深い。日経新聞の広告に乗っていた見出しだけでも、ほおっと思ってしまうようなことが列挙されている。たとえば、・・・

・ホームラン数、安打数の歴代10位に、A型は一人もいない(確率1万分の1)
・サッカーの日本代表出場歴代20位にB型は一人もいない(確率1400分の1)
・ゴルフの歴代上位はB型が独占(確率500分の1)
・プロ野球監督歴代優勝回数で上位を占めるA型
・スポーツのトップ選手に圧倒的なシェアを持つO型
・M-1王者になりやすいボケと突っ込みの血液型組み合わせとは?
・自殺しやすい血液型とは?
・・・

▼著者によれば、ここまで異常値が出ているのに、まだ偶然として黙殺を続ける精神医学界や心理学界は、既得権益を守るために、必死に抵抗しているだけである、と言い切っている。

▼読んでいないからわからないが、スポーツ選手だけのサンプル調査であろうか。もちろんスポーツというのは、運動能力の差異であるから、もっとも原始的で根源的なものであるとは思う。が、やはり知りたいのは、ここから拡大して、さまざまな経済活動や知的活動、芸術的活動に、どういった血液型が支配力を持っているかという点だ。

▼これはなかなか興味のつきないテーマだろう。民族的にも、日本は圧倒的なB型ゾーンであるアジア大陸にあって、唯一といっていいほどA型が多数派を占めている。逆に圧倒的なO型ゾーンである欧米大陸にあって、唯一といっていいほどA型が多数派を占めているのがドイツである。

▼いずれも、森林が深く、見通しの効かない気候風土である。違いは、大陸国家か海洋国家化という点だが、これを横に置いて比較すると、たしかに、どちらも世界を相手に大げんかをした挙句、存亡の淵まで追いやられ、なおかつそこから見事に復活して、世界をリードするまでに至ったという事実がある。

▼これとA型を直接的に、あるいは血液型だけで定型化しようというのは無謀だろうが、一つの伏線であった可能性は十分にあるのだ。

▼ということで、暇があったら読んでみたいと思っている。ちなみに、わたしはB型である。だいたい、Bだというと、変人ということになっているが、恐らくどの血液型にも「変人」はいるのであって、違いはその変人ぶりの差異である。

▼ちょうど、組織のトップに立つものは、どの血液型の人もいるのであって、その違いは、A型がリーダーというイメージである場合が多く、O型は親分というイメージだという。B型は、それよりくだけた(軽い)親方というイメージらしく、AB型は先輩というイメージだといったようなことを聞いたことがある。

▼ちなみに、動物にも血液型というのはある。聞いた話だが、犬は19種類あるという。どの血液型を融通しても良いらしい。

▼猫は、A、B、ABの3種類だそうだ。たとえば、アメリカンショートヘアやシャムはAしかいないという。ほとんどがAだということだ。違う方を輸血すると、犬とは違って死んでしまうことがあるそうだ。

▼サルは、AかOだそうだが、面白いことにゴリラにはBしかいないそうだ。オランウータンは人間に一番近いというだけあって、A、B、O、ABの4種類がある。チンパンジーは、AとOのみ。

▼豚は、AかBなのだそうだが、9割かたA型という。

▼牛、鯨は、ほぼBだという。たしか、カメか、ゾウガメだけだったか忘れたが、Bだと聞いたことがある。してみると、基本的にBというのは、一見、ぬぼ~っとした、ぼけ~とした、ルーズな、あるいはのんびりした動物が多いような気がする。魚全般は、ほとんどAだそうである。

▼ついでなので、両生類までいこう。カエルだ。これはなんとほとんどがABらしい。

▼驚きは、植物である。植物に血液型があるとは初耳なのだが、「のようなもの」ということなのかもしれない。聞けば、植物というのは、ほとんどがO型なのだそうだ。種類は確かにあるらしいのだが、ABは少なく、AやBというのは、かなり例外的な存在らしい。紅葉などは、血液型の違いで、色が変わるそうである。たとえば、カエデはO型の場合は赤になり、AB型だと黄色に変わるのだそうだ。

▼これが当たっているかどうかはともかく、統計的にどういう差異があるのか、一度読んでみたい本だ。みなさんは、どうだろうか。

▼余談だが、クレヨンしんちゃんはB型である。のび太はA型。キン肉マンはB型。ちびまる子ちゃんはA型だ。作者は一応、そういうキャラを念頭に入れて、作画しているということになる。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄



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