【閑話休題】
[記事配信時刻:2019-03-08 16:24:00]
【閑話休題】第563回・歴史は修正されなければならない
▼歴史というものは、勝者の論理でつくられるから、およそ偏向的な解釈が定説化する。その後、長い年月を経て、次第に客観的にして科学的な真実が露わになっていく。だから、歴史は必ず修正される。
▼中国や韓国、あるいはロシアが、ことさら日本のことを「軍国主義の日本は、反省が足らない」として、ことごとに「歴史修正主義」であると非難する。当然のことだ。歴史は修正されなければならないのだ。
▼およそ軍事力の規模においては中国・ロシアから「軍国主義」のそしりを受けるいわれなどない。第2位の中国24兆円、第3位のロシア7.5兆円である。彼らは、第8位・日本の軍事費5兆円を下回ってから、モノを言え。
▼まだ韓国は、規模でこそ第10位で4兆円と日本より少ないものの、その伸び率たるや、恐るべき大きさだ。日本が年率2.5%の伸びであるのに対し、韓国は40%の伸びである。ちなみに、中国は118%の伸び、ロシアは87%の伸びで、アメリカは5%近くの減少である。
▼どこを押せば、「軍国主義」という日本非難がでてくるのか、数字で説明してもらいたいものだ。もっとも、彼らは百回ウソを言えば、真実になると信じている政治思想であるから病気である。直せといっても、治らない。とすれば、こちらは1万回の真実を言い続ける必要があるわけだ。ところが大人の対応をしがちな日本は、これをしない。怠慢なのは政府である。
▼さて、中国、ロシアと名前を出したが、非常に微妙な位置にあるのが韓国である。この国は、どうもこのところ(文政権成立から)言動がおかしい。おそらく韓国国民の4割は、「おかしい」と思っているはずだ。しかし過半は、支持しているのだろう。
▼慰安婦、徴用工、旭日旗、自衛隊機へのレーダー照射など、文政権になってというもの、後から後から挑発ともいえるような事案が出てきている。韓国国会議長による「天皇陛下の謝罪」要求にしてもそうだ。
▼いずれも、以前のように事態を収束させようとする意思が、昨今の韓国政府にはまったく見られない。日韓関係の悪化をあたかも望んでいるかのようだ。考えられるのは韓国政府が意図的に日本との緊張を高めているのではないかということである。
▼おそらく韓国と日本では、世界の地政学的な将来イメージがかなり違うということなのだろう。およそ世界には2つのシナリオがある。一つは、米中の2強がガチンコの衝突をしていくというシナリオ。もう一つは、米中以外にも多くの強力な勢力が台頭し、言わば多極化していくであろうというシナリオ。
▼はっきり言って、日本人の多くは、後者のシナリオを描いている人が多いはずだ。逆に韓国では、政府はもちろん国民の多くも、前者のシナリオであろうと推測される。つまり、韓国は結論から言えば、アメリカに見切りをつけて、中国に「すり寄っている」ということだ。もっとも、あからさまにアメリカを突き放すわけにはいかないので、そこでアメリカの「子分」である日本を、ことさらに攻撃し、非難し、注文をつきつけるのだ。それによって、中国に対し「わたしは中国寄りですよ」とアピールしているわけである。
▼当然、そこには、北朝鮮との統一(というより、ほぼ文大統領は、韓国を北朝鮮主導で半島統一をしようという意図がかなり鮮明である。結果的には北に韓国を売ることになるはずだ。)という大目的があり、その保護者として、韓国はアメリカではなく、中国を選んだということである。
▼また、内政面でも、日本と喧嘩する大統領は人気が上がる傾向があるため、反日的な言動というものが人気を増大させ、回復する手段となっている。
▼この韓国のスタンスというものは、単純に日本軽視という問題ではないのだ。その先に見え隠れするのは、アメリカの国力を見下しているということにほかならない。
▼これは、韓国にとっては悲劇的な結果に終わるはずである。なぜなら、アメリカは過去も、現在も、そして多極化した将来においても、誰も歯向かうことのできない突出した国力を維持し続けるからである。ことはアメリカだけを見ていると、こうした韓国のような「誤断」に陥るのである。アメリカを動かしている背後の集団のことを考えると、こうした韓国の選択は出てくるはずがないのだ。
▼アメリカも馬鹿ではないから、こうした韓国の変節というものに、かなりいらだっている。が、今のところは泳がせているということなのだろう。米中協議という非常に長期的な『中共解体プロジェクト』にかかりっきりであるから、言ってみれば「雑魚などは、しばらくどうでもよい」と思っているフシがある。
▼その韓国がある意味必死で「すり寄っている」先の肝心の中国は、かつてないアメリカの宣戦布告(2018年10月4日のペンス副大統領の演説)に、戦慄している。中国が、いつになく「尖閣諸島問題」にも「歴史教科書問題」にもまったく一言も触れずに、ひたすら日本に「すり寄ってみせている」状況でよくわかる。日本ごときにすり寄るのであるから、その苦境たるや想像に余りある。こういったパワーバランスの変化に、韓国の文政権はあまりにも鈍感だと言うしかないが、それもそのはず、北主導による朝鮮半島統一というのは、文大統領の骨の髄から培われて来た「イデオロギー」だからにほかならない。
▼アメリカに挑戦しようとする大国は、ことごとく敗れ去ってきた。中国は、「自分こそがアメリカにとって代わる」という意思を見せた途端、アメリカの逆鱗に触れて、現在の状況に陥っている。
▼足元で行われている米中協議がいったん合意に達して、アメリカが矛を収めたところで、それは次の注文への休戦期間にほかならない。なぜなら、アメリカは19世紀にフロンティアが消滅して以降、一貫して、太平洋を西を目指した。西漸主義である。
▼それまでの騎兵隊と幌馬車が、航空機動部隊と海兵隊にとって代わり、今またそれはITの知財という先鋒に入れ替わりつつある。ラストリゾートは言うまでもなく、中国という巨大市場であり、そこで利益を享受することにほかならない。もちろんその先には、中央アジアを制して欧州まで横断的に支配を広げようという壮大な意図がある。
▼日本はそこで、アメリカの行く手に立ちはだかってしまったのである。その結果が、1945年昭和20年8月15日の敗戦である。
▼思えば、明治維新から36年後、南下するロシアの脅威を満身創痍になって排除し、1905年に日露戦争が一応の終結を見た。しかし依然として百万のロシアの大軍が北部満洲に居残り、危機は解消していなかった。
▼もう1年続けていれば、確実に日本は敗戦になるはずだった。その危機を救い、講和の仲介の労を取ったアメリカに、満州の利権の半分を分かち合うという手段に出ていれば、あの敗戦は無かったのである。
▼アメリカはユダヤ系鉄道王ハリマンを日本に派遣して、その打診を行い、いったんは日本はこれを承諾したが、直後に破棄したのである。
▼そこでアメリカは、中国の利権について、日本が独占するつもりである、という不信感を抱いた。対日政策を180度変更していった経緯がある。これが回帰不能点となったということは、ずいぶん以前に閑話休題でも書いたことがある。
▼その後の日本の戦争というものは、アメリカの支援を受けた中華民国・蒋介石政権との泥沼の戦争に突入していったが、執拗な中国側の挑発によって、引きずり込まれたというのが実情である。アメリカが裏で糸を引いていたからだ。邪魔な日本を中国大陸から追い出した後は、中国市場を独占しようという腹がアメリカにはあった。
▼第二次大戦に至るまで、日本の対外戦争のほとんどは(全部とは言わない)、徹頭徹尾、北から迫るソビエト共産主義国家と、中国国内に蔓延しつつあった中国共産主義に対する、自衛戦争以外のなにものでもなかった。それは、マッカーサー元帥が、日本占領から帰国後、連邦議会で行った「日本は、自衛のための戦争を行った」という演説で、明確になっている。
▼今、アメリカは、かつて日本があれほどこだわった自衛のための緩衝地帯・後背地(ヒンターランド、朝鮮半島と満州)の確保と、同じ道筋を歩んでいる。しかも、皮肉なことに、日本が失った満州、朝鮮半島より遥かに後退した38度線以南までしか、アメリカは失地回復できていないというのが、現実である。アメリカは、一体あの太平洋戦争で、得をしたのか、損をしたのか。
▼日本を追い出して、中国市場を独占しようとしたアメリカは、あらぬことが支援していた蒋介石政権が倒れ、共産中国になってしまい、すべてを失った。それどころか、上述の通り、満洲の利権を失い、朝鮮半島もかろうじて半分確保したにすぎない。一体、アメリカは何のために、あの4年間、日本との血みどろの戦いをしたのか。負けたのは、日本であったが、思惑がことごとく失敗したのはアメリカだったという皮肉な結果が残ったわけだ。
▼中国大陸進出をするのに邪魔な日本を撃破したまでは良かったが、肝心の中国は言うことをきかない共産主義国家になってしまい、これは大誤算である。おまけに、日本が制圧していた地域すら、アメリカは手中に入れていないのである。「日本に取って代わる」ことすらできなかったのが、アメリカなのである。
▼今、もう一度、この中国を「取りに行く」ことを、アメリカは考えている。一度アメリカに標的にされたら最後、中国には自由な選択肢はない。とめどもない後退戦術しか残されてはいない。
▼言うまでもなく、中国がアメリカの逆鱗に触れたのは「一帯一路」政策を出したためである。繰り返しになるが、アメリカはそれこそフロンティア消滅以降、太平洋を西漸して、ハワイ、グアム、フィリピンと手に入れて、大陸を目指す百年を経てきた。
▼途中、遅れてきた帝国主義国だけに、意外な先行国家日本が満洲を手に入れたところで、先述通り、「一緒にやらないか」と話を持ち掛けたところ、日本にソデにされ、頭にきたアメリカは、「お前、誰に向かってモノを言っているのかわからせてやるよ」と太平洋戦争で日本を潰した。
▼ところが、その後の下手さ加減は先述の通りで、38度線までを確保したにすぎない。それでもアメリカは、1978年の開放経済以降の中国には期待した。80年代までは、アメリカの言うことを聴く優等生になってくれるかと思ったが、90年代、中国が力をつけて「勘違い」を始めると、その期待は大きく裏切られた。
▼なんとアメリカがもともと百年の計で培い、第二次大戦以降は、対日戦で一時中断していた満洲・中国から中央アジア・ロシア→欧州への西漸ルートを、中国が「一帯一路」と言い出して、横取りしようとし始めたのだ。
▼アメリカは怒った。「この中国ってやつは、恩を仇で返す国らしい」ということを、やっと気づいたのである。しかも、習近平主席が任期切れで退場するまで、しばらく我慢していれば、次の新政権とはうまく話をつけられるかもしれない、とアメリカは甘い期待をしていた。
▼それが、実に愚かな期待であったかということは、昨年ようやく身に染みたのである。習近平主席が昨年、従来の任期制を覆し、自身に関しては終身制に移行するに及んで、もはやこれまで、とアメリカは踏み切った。そこで昨年10月4日の事実上の宣戦布告と相成った次第。この歯車は、中国が全面降伏するまで終わらない。こうなると、アメリカは韓国や北朝鮮などどうでもよい。代理戦争の場としての朝鮮半島はとりあえず、毒にも薬にもならないから、放っておいて、今や本丸(中国本土)に全力で攻撃をしかけているわけである。
▼日本にとっては、こうした地政学上の大きな転換は、ある意味、改めて日本と言う国と、その歴史を構築しなおすチャンスでもある。アメリカは、韓国がどうにもならない北朝鮮や中国のメッセンジャーボーイに堕落してしまった以上、極東では日本の橋頭保としての位置は、かつてないほど高まってきているからだ。ここにも朝鮮半島など眼中にはない。日本の極東におけるアメリカの橋頭保という位置づけは、本丸中国を見据えての橋頭保にほかならない。
▼アメリカが中国・ロシア包囲網において、頼みにしているのは、明らかに、極東では日本、東南アジアではベトナム、そして南アジアではインドである。幸い、いずれも親日国家である。本来はこれにトルコが加わるはずなのだが、どうもこのところサウジという変数が介在して、米国とトルコの関係がぎくしゃくしてきている。この修復はすみやかになされなければいけないだろう。トルコがこのリーグに組み込まれれば、中国はおろか、ロシアまで封じ込めていくことが可能になるからだ。
▼ベトナムは、日本軍と同じく、さんざん米軍が苦しめられた相手である。米軍が歴史上、唯一敗北を喫したのはベトナムであり、そのベトナムは対仏独立戦争、対米戦争という30年戦争において残留日本軍将兵の指導のもとに戦った経緯があるため、日本に対しては絶大な信頼を寄せている。
▼インドもそうである。英領インド時代に、日本が亡命インド人中心にインド国民軍を組織して戦ったことが、決定的にインド人を親日にさせている。インドの首相が、各国の元首のインド訪問で、自ら空港に出迎えるのは、誰であろうか。ロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席が訪印した際には、当然のように出迎えに行っていない。
▼インドの首相がわざわざ空港までいって出迎えるのは、英国女王、米国大統領、そして日本の天皇皇后両陛下、これだけである。このインドの対応というものが、アジアにおける日本という国家の歴史的な意味を、鮮明に表している。つまり、西洋列強に対して、唯一、武力で公然と戦い、解放に寄与した国家であるということにほかならない。
▼1840年の阿片戦争、1877年の英領インド帝国成立以来、西洋列強の帝国主義に正面切って戦いを挑んだ国は、日本以外に一つもない。これは、事実である。わたしなどがそう言ったところで、つまらない反論がでてくるだけだ。アジア人の日本というものへの評価を、アジア人の発言によって確認してみよう。
▼かつて、インドネシアにアリ・ムルトポという将軍がいた。1924年生まれ。インドネシアを大きく経済発展させたスハルト長期政権の水先案内人となった、情報(スパイ)畑の陸軍中将である。(すでに1984年に亡くなっている)
▼このムルトポ将軍が、1973年昭和48年、マニラで開催された、ASEAN諸国中心の安全保障の国際会議に出席したときの逸話が有名である。
▼会議が始まると韓国代表が演説した。
「日本帝国主義が三十数年間も韓国を侵略したために、韓国は防衛体制が確立できなかった。その責任は日本にある」。
▼日本側はこれに何も言わなかった(大人の対応、おくゆかしい、というのではなく、国家を背負って代表としていいる人間としては、要するに「馬鹿」なのである)。こういうときに、黙っているのが日本の政治家や官僚の、最悪の欠点である。
▼するとインドネシア代表のムルトポ将軍は、憤って発言した。
「韓国は日本の庇護の下で日本人として生きてきたくせに、日本が戦争に負けたとたん戦勝国民だとうそぶき、独立戦争を戦ったと嘘を言う。」
第二次大戦後、日本に帰還せず、インドネシアに残留した日本兵2000人とともに、オランダからの独立戦争を戦ったムルトポ将軍は、韓国代表の性根が我慢ならなかったのだろう、立ち上がって韓国代表を糾弾し始めた。このときのムルトポ将軍の長い発言をそのまま引用してみよう。そこにすべては言いつくされている。
「韓国人は自ら戦わなかったくせに、責任を日本に押し付けるとはどういうことか。もしアジアに日本という国がなかったと仮定してみよ。1899年の義和団事件以来、ロシアは満州に大軍を駐留させ朝鮮を狙っていた。朝鮮が戦わないから日本が戦ったのだ。これが日露戦争だ。朝鮮は日本が敗けると思って裏でロシアと繋がっていたではないか。もし日本が戦わなかったら朝鮮はロシア領になっていたことは間違いない。
ロシア領になっていたのは朝鮮ばかりではない。中国も北半分はロシアが支配し、揚子江以南はイギリスとフランスが支配しただろう。遅れて登場したアメリカはどうやって中国大陸に食い込むか企んでいた。
そもそもアジア混迷の遠因は中国にある。中国はアヘン戦争でイギリスの不当な要求に屈して簡単に降参してしまった。その時中国はなぜ徹底して戦わなかったのか。 “中華”と誇る中国が不甲斐なく敗けたから、日本が大東亜戦争を戦わざるを得なくなったのではないか。この責任は中国にある。
そもそもアジアで戦ったのは日本だけではないか。もし日本という国がなかったらアジアは半永久的に欧米植民地勢力の支配下に置かれていたのではないか。しかも、戦後、アジア諸国は、戦争で大敗したはずの日本から経済、技術、資金でいかに多くの支援を受けたのだ? その事実まで無かったとあなたは言うのか?」と言った。
韓国代表は沈黙したそうである。歴史は、修正されなければならないのである。
▼誤解してはならないのは、最近の韓国の反日スタンスの激化というものは、しょせん国民の半分の声を反映しているにすぎないということだ。ざっくりだがそのくらいだろうと踏んでいる。残りの半分は、良識ある韓国人である。当の慰安婦(本当に慰安婦だった人たち)ですら、実は親日的である。騒いでいるのは「被害者」ではなく、文政権を支持する左翼系韓国人である。まともな韓国人や軍部は、おそらく苦虫をかみつぶしたような顔をして、「困ったものだ」と迷惑しているはずだ。
▼この文政権の異常な言動というものは、今般の米朝会談不発となった前後の対応にもよく表れている。直前までは、トランプ大統領がいかにもトップ会談で決着できるといったようなそぶりを見せていた。金正恩委員長は事務方の事前協議の進捗を受け、寧辺の核施設の放棄と言えば、アメリカの老人を丸め込めると踏んだようだ。
▼ところが首脳同士の会談が始まると、トランプ大統領は寧辺以外に北朝鮮が隠蔽している施設まですべて放棄することを要求。金正恩委員長らは凍り付き、「それは議題にない。」と突っぱねた。そこでトランプ大統領が、「あなたたちにはまだ協議の準備が十分できていないということだね。」といって、協議中断で、昼食会キャンセルというこういった経緯だったようだ。
▼翻弄されたのは、北朝鮮だったわけだが、慌てたのはおめでたい韓国・文政権である。事前の段階で3.1独立運動式典における演説では、新たな朝鮮半島統一の青写真を高らかに掲げようとしていた。だから一連の反日騒動が頻発しても、煽りこそすれ、沈静化させる意思も見せなかった。米国には「日本は同盟国ではない」とすら言いきっていた。
▼それが、今般の米朝会談決裂で狼狽した文政権は、3.1記念演説の原稿を大幅に変更し、反日トーンを一気に落とし、慰安婦にも、徴用工にも触れないという無様な対応を露呈したわけだ。
▼一体、なぜこれだけ狼狽するのか。それは、その前の段階、つまり、文政権が異常な反日言動に終始していた時点で、北朝鮮と韓国がどういう関係になっていたかでおよそ説明できる。
▼直近日韓間で、激しいやりとりが行われたレーザー照射事件だが、なぜあそこまで韓国政府が恥も外聞もなく、ウソにウソで塗り固めたのか? 軍事専門家や海空軍関係者が見れば、一目瞭然、韓国観戦が自衛隊機にレーザー照射し、攻撃態勢のロックオンを仕掛けた事実は揺るがない。なぜ、そこまでのことをしたのであろうか?
▼ここにすべてがありそうだ。韓国の軍事専門家のリークによると、どうやら文政権は北朝鮮と、われわれが想像している以上に「密接に」つながっているらしいのだ。その一部の露呈が、このレーザー照射事件だったという。
▼くだんの専門家は事実だ、としているが、立証されているわけではないので、一応ここでは仮説としておこう。しかし、これが一番説明がついてしまうのである。
▼事件発生前、北朝鮮では軍内部のクーデター騒ぎがあったと言う。これが失敗し、反乱軍将校らが逃亡を図った。当然北朝鮮はその捜索をしたのだが、補足できなかった。そこで韓国海軍に掃海と捜索を要請したのだという。文政権はこれに応じて艦隊を出動させ、日本海で必死で捜索し、逃亡将校らの身柄の確保にあるていど成功。(身柄は北朝鮮に引き渡した。どういう運命が待っていたかは容易に想像できる。)
▼この動きを「異様」と判断した日本の航空自衛隊がチェックに来たところ、慌てた韓国軍は、事実が露呈するのを恐れ、自衛隊機にロックオンして追い払った、というわけである。
▼ただのミスであれば、「すまん、間違った。」で済むはずの話が、ここまでこじれにこじれ、自衛隊機が悪いと主張した韓国には、どうしても認めることができないこうした事情があったというわけだ。つまり、北とすでにグルになっているという現実である。
▼この文政権の親北傾向というものは、ただの傾向ではなく、完全にイデオロギーとして金日成元主席の「主体(チュチェ)思想」に心酔する左翼・シンパそのものと言うことができる。
▼この文政権の正体というものに、恐らく韓国民の半分は気づき始めている。その決定的な動きが直近で出てきた。
▼アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会の崔容相(チェ・ヨンサン)事務局長が、遺族会として徴用工問題で韓国政府を訴えたのである。日本企業相手に韓国側が裁判を起こす動きが進んでいるが、これを政府が止めさせるべきだと主張している。
▼逆にどんどん反日運動を進め、日本企業に賠償を追わせようとする動きの急先鋒となっているのは、民族問題研究所である。親日派バッシングを行動原則とする極左市民団体である。文政権と深くつながっているとみられる。
▼ここで面白い現実が起こっているわけだ。本来の被害者である徴用工や慰安婦といった人たちは、日本企業を訴えても被害者には一つもプラスにならない、と考えていること。一方「被害者団体」になりすまして、反日運動を激化させている政治団体にすぎない民族問題研究所の衝突である。
▼本来の被害者である遺族会は、徴用工被害者と遺族を原告として、韓国政府を相手取り、一人あたり1億ウォン(約1000万円)の保証金を求める訴訟を、ソウル中央地裁に起こした。どういう趣旨かというと、要するに、韓国政府は日韓基本条約に基づき、日本からお金を受け取っている。韓国政府はそれを被害者に渡さなかった過去がある。(いわば横領である。だから我々(遺族会)は、日本から韓国政府がもらったお金が、ちゃんと条約通り、被害者にわたっていないという状況を「正す」ことから始めなければならない、ということだ。
▼これは、きわめて正論である。実際、1965年、日韓基本条約では、日韓請求権協定に基づき、日本政府は無償3億ドル、優勝2億ドルの計5置くドル(当時のレートで1800億円)を韓国政府に支払った。そして条文には、「日刊両国とその国民の財産、権利並びに、請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたことを確認する」とあり、日韓併合時代の賠償問題はこれで解決している。
▼ところが、昨年末の韓国大法院の判決は、日本の植民地支配を不法であるとして、「不法行為における損害賠償請求権は日韓請求権協定の範囲に含まれないという解釈を発表し、日本企業に賠償を命じている。この理屈だと、あらゆる条約や協定は、まったく意味をなさないということになる。
▼遺族会は、日本が渡した5億ドルは韓国内では主に経済開発に使われ、被害者賠償は十分になされなかったというわけである。だから賠償責任は第一次的には日本ではなく、韓国政府にある、と考えているのである。
▼実際、1965年の日韓条約の公称記録が公開されているが、賠償の具体的な措置については日本側が行うと日本は申し出ている。ところが、韓国政府は「自国民の問題だから韓国政府で行う」として拒否している。この結果、公称記録では、「韓国側が無償提供された3億ドルを使い、強制連行者を含む賠償協議を行う」となっている。これらの資料は遺族会による韓国政府告発状に、証拠として添付されている。
▼ここにおいて、韓国は「国家が利益を横領したという不法行為」と、「国家が不当に利益を得たという不当行為」の二つの問題に直面していることになる。
▼ようやくこの日韓併合時代の清算というものについて、ようやく韓国人の間で「一体なにが、真実なのか」という点で、まともな理解が浸透し始めたようだ。
▼文政権は、北朝鮮との事実上の国家統合を目指しているわけだが、それが頓挫し、狼狽している。国内経済の立て直しにまったくなにもせず、イデオロギーに邁進する文政権の行き着く先は、日本に愛想づかされ、米国からは敵性外国とみなされ、中国からは軽んじられるという、彼にとっては思ってもみなかった三重苦が待っている。
▼良識ある半分の国民と、軍は、この状況にいつまで我慢していられるだろうか。隣の国ことであるから、わたしがとやかく言うことではないが、彼らは誰が敵で誰が味方なのか、根本から考えなおさなければならない重大な時局に直面していることは間違いない。その根本にあるのは、先述の日韓基本条約もさることながら、根本的な歴史観の修正である。これが無ければ、韓国はいつまでたっても、日本か、それとも中国かで揺れ動き、確固たるアイデンティティを持つことができないであろう。
▼以前も書いたが、日本固有の「前方後円墳」が韓国にもたくさん発見されて、「やはり前方後円墳も韓国から日本に伝えられたものだ」と誇らしかったのだろうが、中を調べてみると、遺骨や副葬品からして、倭人(日本人)のものだと判明してしまった。
▼そこで朝鮮の古代王朝に仕えて貢献のあった、日本人の豪族に前方後円墳の構築を許したのだろう、と無理な解釈をした。ところが、前方後円墳が夥しく出始めてしまったので、そんなに朝鮮王朝に仕えて貢献のあった日本人豪族がたくさんいたのか、ということになってしまった。要するに、朝鮮半島南部はやはり任那日本府が厳然として存在しており、日本人国家であったということは歴然としているのだ。
▼都合が悪くなった韓国考古学会が何をしたかというと、さすがに学者たちの良心から破壊はしなかった。そのかわり、「無かったこと」としてすべて埋め戻したのである。しかもそれは日韓共同発掘研究だったにもかかわらずである。
▼一事が万事この調子である。こうした非常に残念な韓国における「夜郎自大の性癖」というものは、根本的に歴史を政治や国民意識のツールであると誤用していることに原因がある。これは中国も同じである。
▼日本もかつてそうであった。どこの国も、大なり小なり、そうした傾向をまだ残してはいる。が、あくまで歴史は、勝ち残った側の自己正当化の道具で「あってはならない」。歴史は政治的意図で解釈されてはならない。歴史は審判の場ではない。歴史とは、あくまで科学であり、事実の認定である。
▼アメリカでさえ、フランスでさえ、どうしても主導政権や支配階層にとって都合のよいものになりがちである。が、自由な議論ができる環境は少なくとも維持されている。日本もそうである。最低限の自由は保障されている。
▼国家が近代化を終えたか、まだ前近代的な国家にすぎないかを計る、文化的バロメータとしては、この歴史認識の公平性が重要な一つの指標であろうと思う。日本も、その点ではお粗末なものなのだが、少なくとも一方的なイデオロギーだけが社会に存続できるような無残な状況にはない。反日の本を出そうが、天皇制を完全否定しようが、晴れて自由である。そうした自由が、韓国にあるかというと、残念ながら全く皆無に近い。中国も同じである。政府・国家がそもそも「反日清算」という言葉を使っていること自体で、もう近代国家としてはアウトである。
▼国家間の問題というと、いかにも難しい複雑な伏線が多いと誤解しがちである。が、そんなことは無い。物事は単純である。私的な友人関係と同じで、自分を嫌いだといっている友人と、敢えて仲良くする必要もない。日常のわたしたちの個人的な関係と、国家の関係も、実は同じくらい単純である。喧嘩する必要はないが、言うべきことだけをいい、あとは付き合わなければよいのである。誰とでも付き合おうとする八方美人を、あなたは尊敬できるだろうか? そんな国に日本が成る必要もない。
増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄
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