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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第108回・優れた投資家

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【閑話休題】第108回・優れた投資家

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-08-06 18:00:00]

【閑話休題】第108回・優れた投資家

▼米国の科学者チーム(どのような科学者なのか、これまた問題だが)によると、正常なIQを持っている41人に、簡単な投資ゲームをさせる実験をした。このうち15人は、感情に影響する脳の領域に障害がある人たちだ。実験の結果は、脳に感情障害のある人たちのグループのほうが、投資結果が優れていたという。その科学者たちによると、脳に感情障害がない人の場合は、早めにリスク回避行動を取るのだそうだ。逆に、感情障害のある人は、リスク回避行動をなかなか取らなかったという。

▼また、スタンフォード大学の学者によると、多くの企業幹部や一流弁護士といった人たちにも、同じような傾向があるようだ。インテルの創業者が、「事業に成功するには、『パラノイア(変質者)』でなければならない」と言ったが、そういう点では的を得ているのかもしれない。

▼この科学者のチームが言いたかったのは、おそらくリスクをどんどん取りにいける人が“優れた投資家”だという結論なのだろう。たとえば、暴落の途中で、落ちてくるナイフを素手でつかみに行くような買い方をする人。あるいは、史上最高値をどんどん買い上がれるような人。そういう行動が、大きな利益を生む要因になっているのだろうが、逆に一気に破産するリスクと裏腹であることは言うまでもない。

▼昔から、「○○と天才は紙一重」という言い方もある。確かに狂気としか思えないような行動が、結果的にプラスに作用する職業は存在する。芸術家などはその典型例だろうし、起業家、投資家や投機家といったものも、そうした部類に入るかもしれない。

▼ただし、時系列的に見て成功者、勝利者として残るかどうかという観点がこの実験では無視されている。リスク回避の行動が欠如した人ほど大きな成功をつかむ可能性が高いにしろ、それを持続できるかという問いには回答がない。実際問題、一時的な栄光の後、悲惨な末路をたどった起業家、投資家や投機家は数え切れないほどいる。堅実な成功の積み重ねで、途中の暴落や大変動に耐え抜き、最終的に成功者、勝利者で終わるケースも、当然高く評価されるべきだろう。

▼やはり、時間軸を加味した研究や実験でなければ、公平なものではないような気がする。預かり資産を一年で2倍、3倍にしたヘッジファンドもある。しかし、それは3年と続いたためしがない。ヘッジファンドのみならず、押しなべてそうである。かつて、「運用の神」と呼ばれたピーター・リンチは、8年前後にわたって、年率の運用成績が20%以上というパフォーマンスを連続で成し遂げたことがある。おそらくこの記録は、いまだに破られていないはずだ。これがほんとうの相場巧者、理想的な運用者の姿なのだろう。

▼ちなみに、リンチが40代でいったん引退したとき、記者会見で個人投資家に向けたアドバイスを求められた。彼は、「参考になるか分からないが」と前置きした上で、こう言った。「実は、私が選んだ銘柄群のうち、半分は大はずれだった。上がったのは残りの半分だった。運用成績が非常に良かったのは、その上がったうちのごくわずかな銘柄が、何十倍にもなったからにすぎない」。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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