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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第139回・フードファディズム

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【閑話休題】第139回・フードファディズム

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-09-19 18:30:00]

【閑話休題】第139回・フードファディズム


▼まあテレビというものは、威力絶大である。だからテレビ局に勤めている人間は、ともすると勘違いする。何か偉い仕事でもしているかのような錯覚を覚えてしまうのだろう。証券業界も同じだ。米国や世界、日本の景気動向をいじくり回して、たいそうな解説をするものだから、あたかも自分が世界経済を動かしているかのような、これまた錯覚をしてしまうのだろう。夜郎自大というやつだ。

▼それはそれとして、逆にテレビを見る視聴者というのも、なぜかまたこのちょっとした報道で過剰な反応をする。納豆のネバネバ質(フコイダン)が癌に効くと報道されれば、その翌日のスーパーやコンビにから、一斉に納豆が消える。

▼トマトジュースが中性脂肪を減らすのに効くと知るや、トマトジュースが店頭から消える。最近では、ダイエットに効くというサバ缶だ。これも同じだが、こういう特定の食品が健康に良いと思い込むことを、「フードファディズム」という。

▼納豆もサバ缶もトマトジュースも、たまたま体に悪いものではなかったからいいようなものの、このような反応を一般大衆が過剰に示すこと自体が問題なのだ。

▼テレビという特定の公共電波を寡占している側の、あまりにも視聴率狙いに偏った報道というものは、ミスリードを頻発させる。食べ物は「万事、適当」がいい。すべてバランスの問題だからだ。

▼さてさて、そうは言っても、私たちはいつも健康でありたいし、毎日の生活は幸福感で満たされたい。この幸福感というのは、「セロトニン」というホルモンの働きであることが科学的に認知されている。

▼セロトニンは脳内でつくられ、精神を安定させ、「安らぎ」を与えてくれるという。たとえば、セロトニンが分泌されれば、よく眠れるようになる。この物質は、睡眠ホルモンであるメラトニンの材料だからだ。夜になると、このメラトニンが私たちを心地良い眠りへといざなってくれる。

▼ほかにも、セロトニンはストレスに強くなる。精神の高揚感、落ち込みといった感情が一方方向へ傾斜しないように、バランスを取ってくれる。こうした精神の安定やバランスが、人間のあらゆる免疫能力を十分に機能させ、病から出来るだけ遠ざけてくれる。セロトニンは、それを可能にする根本的な物質なのである。

▼では、このセロトニンをどうやって増やすことができるのだろうか。別に、禅など堅苦しいことをしなくても良い。一番簡単なのは、深呼吸をすることだという。ただ、過呼吸のように、酸素を取り込みすぎて活性酸素が多くなっては元も子もない。言い換えれば、肺の中の空気を新鮮なものに入れ替える、ということだろう。

▼花粉やダストなどを気にして窓を締め切り、エアコンに頼る生活が多くなっている現代人だが、やはり「適当に」窓を空けて、外気を部屋に入れることが必要なのだろう。新鮮な空気を体内に取り込めば、物理的な面だけではなく心理的な開放感にもつながるから、けっこう効果はある。

▼このほか、一日に15分程度歩くことも、セロトニンを増やす効果があるらしい。要は一定のリズムを持った運動が、セロトニンを増加させるのだ。そして、意外に重要なのは太陽光である。それも朝一番、まず太陽光を浴びれば、かなりの効果があるという。体にスイッチが入るのだ。夜間に比べて、日中はセロトニンの分泌量が多くなる。

▼肩が凝ったりするとよく首を回したりするが、実はこれも、首を回転させることで大量の電気信号が脳に伝わり、セロトニンの生成・分泌を増やすのだそうだ。もちろん、「適当に」休んで息を抜くということが、セロトニンの増加に効果があることは言うまでもない。

▼面白いのは、泣くことも良いという。とくに、「号泣」がいいそうだ。号泣とは、泣くことを意識的にとめられない状態のことである。週に一回でも号泣するとセロトニンが大量に増えて、頭がすっきりするらしい。問題は、この状態をどうやってつくるかだが、手ごろな方法としては、号泣できそうな映画を観たり本を読んだりする手がある。

▼鏡に向かって、あらゆる「変な顔」をしてみせる、というやり方はどうだろう。これは昔から人間の情緒を非常に豊かに、そして安定化させる一つの方法だとされてきたが、これももしかしたら、セロトニンの分泌にかかわっているのかもしれない。

▼食べ物に関しては、とにかくバランスがよければ良いのだ。一番重要なのは、朝しっかり食べるということらしい。さる歌舞伎俳優の一家では、朝から焼肉だそうだ。私は、肉といったら豚肉が好きなのだが、ステーキだけはどういうわけか、牛肉が一番おいしいと思う。牛肉には豚肉が持っているビタミンなどは含まれていない。しかし、牛ステーキを食べて「ああ、おいしかった」と思えるのは、このセロトニンが牛肉に含まれているからではないか。牛肉はおいしい上に、パワーもダントツにアップする。

▼セロトニンを増やす食べ物としてよく知られているのは、カツオ、マグロなどの赤身。セロトニンをつくる「トリプトファン」と「ビタミン6」の両方が、たっぷり含まれているらしい。さらに、このトリプトファンは、良質のタンパク質と一緒に摂ることで、増幅効果をもたらす。

▼良質なタンパク質というのは、たとえば、豆腐、豆乳、納豆、味噌、チーズ、ヨーグルトなど。またビタミンB6は、ショウガ、ニンニク、トウガラシといった香辛料にたっぷり含まれている。

▼こうしてみると「赤身魚に豆腐とショウガ」などは、いかにも日本的な、昔から食されてきた定番の品揃えだ。要するに、“普通の食事”でいいということに尽きる。白身が多い沿海魚と違い、赤身魚は遠洋ものが多いから、そうそういつも食べられたわけではない。たまに食べるから、体に効くのかもしれない。「適度」というと、おしつけがましいので、やはり「万事、適当」が一番良いのだ。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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