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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第159回・世界の三大料理

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【閑話休題】第159回・世界の三大料理

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-10-21 18:00:00]

【閑話休題】第159回・世界の三大料理


▼世界三大料理(The Three Grand Cuisines )という。伝統的には中華料理、フランス料理、トルコ料理を指す、らしい。いずれも大帝国における宮廷料理として発展した背景がある。食通の王侯や皇帝が領土内の料理法を糾合、珍味の食材を蒐集(しゅうしゅう)し、多くの料理人を召し抱えて腕を競わせた結果、多彩で豪華な料理文化が発達したものだ。

▼ただし、この定義は主に欧州の料理研究家などにより昔から言われてきたものであるため、今日の世界的な知名度や評価とは必ずしも一致しない。

▼たとえば、かつて19世紀後半から20世紀初頭にかけ、欧州ではトルコ料理がオリエントブームを背景に流行した。コーヒーを飲む習慣などヨーロッパの食文化に与えた影響も大きかったが、現在は世界的にトルコ料理よりイタリア料理などのほうが著名になってしまった。

▼しかし、考えてみれば、料理の優劣というものは、もともと客観的に証明できる性質のものではなく、主観的評価やその時代の流行を反映する。比較することはできても、優劣を決めることなど土台無理な話なのだ。

▼面白いのは、2011年7月にCNNが公表した「世界の料理の美食ランキング50」によると、世界1位はタイ料理のマッサマンカレー、2位にイタリア料理のナポリ・ピザ、3位にメキシコ・チョコレートが選ばれた。ただ、これも個人的にはどうかと思ったりもする。

▼少なくともこのランキングには、中華料理、フランス料理、トルコ料理はトップ3にすらランクインされていない。とりわけトルコ料理は、50大料理の圏外だ。レストラン格付けで世界的権威を持つミシュラン・ガイドにおいても、星を獲得し一流と評価されている店はフランス料理、日本料理、中華料理、イタリア料理、インド料理などが多く、トルコ料理の店はほとんどない。

▼圧巻と言う意味では、やはり中国の満漢全席だろうか。清朝の乾隆帝の時代から始まった満州族の料理と漢族の料理のうち、山東料理の中から選りすぐったメニューを取りそろえて、宴席に出す宴会様式だ。後に、広東料理など漢族の他の地方料理も加えるようになり、西太后の時代になるとさらに洗練されたものとなった。

▼数日間かけて100種類を越える料理を順に食べる場合もあったと言われる。現在、中華料理店で出される満漢全席と言われるものの多くは、宮廷と無縁の料理人が資料に基づいて、あるいは想像を膨らませて調理したものが多いとされる。そのメニューたるや、要するに珍味に名を借りたゲテモノ食い以外の何ものでもない。

▼そのメニューを一部列挙してみよう。意味はあまり分からないかもしれないが、漢字からの連想で、およそただごとではないメニューだということは感じていただけるだろう。

山八珍 (駝峰、熊掌、猴頭、猩唇、豹胎、犀尾、鹿筋)
陸八珍 (什蟆、口?、玉皇?、鳳抓?、玉米珍、沙豊鷄、鬆鷄)
海八珍 (燕窩、魚翅、大烏参、魚肚、魚骨、鮑魚皮)

▼私はまだ試したことがないが、その昔、経済開放直後の80年代に北京の「?膳飯荘」という古い名店で、似たようなものを食したことがある。西太后が好んだという有名店だが、「だからどうした」という感想だったのを覚えている。とりわけ、お菓子などは西太后が好んだということでとても有名だが、「それもどうした」という感じだった。名物に美味いものなし、なのだろうか。

▼だいたい、日本人だから仕方ないのかもしれないが、日本料理以上のものはないとかたく信じている。食べ物を口にした時に味を感じる部分が「舌」になるが、その舌の表面にある小さなブツブツ(舌乳頭)が味を感じて脳に伝達している。このブツブツの中には、1万個もの味蕾(みらい)と言う組織があり、ここから情報が脳へ伝達されて美味しい、不味いを瞬間的に判断している。

▼味覚は大まかに「甘い」( Sweet )、「辛い」( Salty )、「酸っぱい」( Sour )、「苦い」( Bitter )の4種類に分かれる。最近では、この4種類に「うま味」が加わり5種類に分類されているようだ。ちなみに、この「うま味」は東京大学の池田菊苗(いけだ きくなえ)教授が、1907年に昆布の旨み成分がグルタミン酸ナトリウムであることを発見。これをきっかけに、5つ目の味覚として近年受け入れられている。

▼この味を判断する「味蕾」は人種によって数が違う。一番多いのが黄色人種(中でも日本人が一番多い)、黒人、白人の順番で白人は黄色人種の7割程度しかないことが判明している。白人の中でもイタリア、スペインなどのラテン系は「味蕾」の数が多く、一番少ないのはイギリス系アングロサクソン人だそうだ。どう考えても、日本料理が一番美味いはずだ。

▼しかし、なかなか日本料理の美味しさが世界的に認知されないのは、黄色人種、とりわけ日本人が重視する「だし」の概念を理解してもらえないためらしい。味の分からない人間に無理やり分からせようとしても、しょせん無駄な話だ。そして私は、今日も夜中に、世界最高の料理であるお茶漬けを食するのである。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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