忍者ブログ

増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第189回・ニュースの正体(前編)

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。

【閑話休題】第189回・ニュースの正体(前編)

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-12-03 18:30:00]

【閑話休題】第189回・ニュースの正体(前編)

▼たまには、時事問題もよかろう。中国が突然、「防空識別圏」を一方的に設定した。防空識別圏とは防空上の理由から設定された空域のことである。そこには、日本の領有である尖閣列島が含まれていたから大変だ。中国は、尖閣諸島を自国領だと言ってきかない。「当然の処置だ」としている。

▼日本などは自国領土だと主張していても、奥ゆかしいのか、竹島も北方領土も防空識別圏からはずしている。ちなみに、日本の防空識別圏は1945年にGHQが制定した空域をほぼそのまま使用している。

▼外交というのは、武力を使わない戦争と何も変わらない。だから正論だけで実効性が得られると思ったら大間違いだ。中国も韓国も、日本が一歩進めば、押し返そうとしてくる。日本は相手にも同じことを期待して一歩譲ってみると、「日本は弱腰」と見て、彼らは必ずさらに一歩押してくる。大人の対応など、せぬほうがよい。相手は大人ではないからだ。子供だといっているのではない。すべて分かった上でやっている“確信犯”だからだ。

▼いざとなれば、謀略も必要だろう。特務機関を育成して、仮想敵国の要人たちの公私にわたる弱みを握るというのは、古来からの常套手段だ。実際、自民党のみならず野党も含めて、かなりの国会議員が過去に訪中した際、まんまとハニートラップに引っかかり、弱みを握られたという。それがきっかけで、俗に「親中派」となった議員がかなりいるらしい。重ねて言う。外交は儀礼でも、公正な議論の場でもない。武力を用いない“戦争”にほかならないのだ。

▼さて、今回の中国の防空識別圏設定に対し、情けないことに全日空と日本航空は、政府の確認もなしに「分かりました」と言って、せっせと飛行計画を中国当局に提出したそうだ。「恥を知れ」とはこのことだろう。言うに事欠いて、「乗員の安全のため」だという。恥という言葉を、経営者は学校で教えてもらったことがないのではないか。民間企業だからといって、済まされることではない。

▼そこへ行くと、韓国は一本筋が通っている。ただちに不快感を表明(中韓で領有を争っている岩礁に、今回の中国の防空識別圏がかかっているのだ)、「飛行計画など提出しないし、通常通り軍機も民間機も、通常通り航行する」と突っぱねた。南シナ海で、尖閣問題と同じようなトラブルに遭っているフィリピンも、中国を批判した。豪州もそうである。

▼とうとう最後には、米国が事前通告なしに爆撃機を複数飛行させ、これを発表した。“実戦行動”で、中国の防空識別圏を蹂躙(じゅうりん)したわけだ。

▼思えば、中国も下手な手を打ったものだ。韓国の反日を煽り、自分のほうに擦り寄ってこさせるのには大成功したが、そこに今回の一件では、韓国にしてみれば、ハシゴをはずされたようなものだ。中国が韓国という国をなめきっていることが、明らかになってしまった。韓国の大統領は、あからさまに親中派を装い、そのお先棒を担いで見せて世界中を回り、日本の悪口を喋りまくってきたというのに。これではいい面の皮だろう。今回の中国の仕打ちに激昂しない韓国人なら、もとより独立国家としての主体性はない。大日本帝国による韓国併合前と、なんら国民の意識は変わっていないようなものだ。

▼さて、ここまでが一般に知られているざっくりとした経緯である。報道というのは、こうした経緯しか解説しない。その半面、大事なことを指摘しないのだ。私たちは、この薄っぺらなメディアの報道から、その裏の意味を読解しなければならない。

▼いったい、なぜ中国は今、突如としてこのような誰が見ても「下手な手」を打ってきたのか。文字通り記事を読んだら大間違いだろう。今回のような、一方的な防空識別圏を設定するという行動には、考えられる二つの意図があるはずだ。まず一つは、これで日本やアメリカがどう反応するのか、尖閣領有問題についてどこまで本気で、どこから本気ではないのかを瀬踏みするためだ。

▼考えてみればすぐ分かる。今回の「事件」の直前に何があったのか。そう、キャロライン・ケネディが駐日大使として日本に着任したのだ。これが11月19日。中国の防空識別圏が設定されたのが、23日である。

▼ケネディという家名は、アメリカでは王家にも似た神秘性と憧れがある。「ケネディの血筋」と言ってもいい。おまけに新駐日大使が容姿端麗で才女ときたら、おのずと先々の政治シナリオはお分かりだろう。

▼今、オバマ大統領の任期は二期目である。財政協議の悶着で、あまりにも不興を買った共和党をこのまま寄り切り、次期大統領選で民主党が再度政権を握るために、ヒラリー・クリントンが動き出している様子。さすがにアメリカだ。初の黒人大統領の次は、初の女性大統領を意図している可能性はある。

▼ヒラリーなら、十分に闘えるだろう。だが、もし「ヒラリー大統領」が不発に終わってしまった場合、次のカードを用意しておかなければならない。あるいは、キャリア・スケジュールと年齢からいって、ヒラリーの次でもいいのだ。そこでアメリカが、もっとも重要な同盟国・日本にケネディを送り込んできたというのは、あながちうがった見方でもなかろう。彼女にとってはキャリアアップのための、一里塚なのだ。

▼また、対外的にはケネディを日本に送り込むことで、中国にも「いい加減、反日を煽ったり、いたずらに日本を挑発するような真似はやめろ」とメッセージを出しているわけだ。いわば、アメリカが日本と言う国を、どう位置づけていて、アメリカが日本のためにどこまでやるか、という本気度を見せたと言ってもいい。これを中国が、防空識別圏で「瀬踏み」してみたのである。

(明日の「後編」に続く)

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



日刊チャート新聞のコンテンツは増田足のパソコン用ソフト、モバイル用アプリから閲覧可能です。

15日間無料お試しはこちらから
https://secure.masudaasi.com/landing/pre.html?mode=cs
PR

コメント

ただいまコメントを受けつけておりません。