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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第204回・クリスマスのうんちく

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【閑話休題】第204回・クリスマスのうんちく

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-12-25 18:45:00]

【閑話休題】第204回・クリスマスのうんちく


▼いつの頃までだろうか、ほんとうにサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれると信じていたのは。うちの息子(一番下の、今年小学校に上がった息子)は、すでに「サンタなんかいないんだよ」とにべもない。

▼英米では、クリスマスの日の25日にプレゼントをもらうらしいから、日本はこの英米流が定着していることになる。戦前、大正天皇崩御と同日であったことから(大正天皇祭)、これがクリスマスとオーバーラップして、定着に至ったという説がある。

▼欧州大陸、たとえば、イタリア、ポーランド、フランス、スペインなどカトリックが多い地域では、子供たちがプレゼントをもらえるのは1月6日なのだそうだ。しかも、イタリアなどでは、ほとんどの地域で、サンタクロースではなく、魔女のベファーナだとされているらしい。

▼これらの国では、クリスマスの期間は24~25日ではなく、公現祭(こうげんさい=キリストの生誕を祝う日)までで、飾りつけは1月6日を過ぎてから取り払われるという。その点、日本は気が早い。12月26日には下手をすると、たちまち門松などにさっさと切り替わる。

▼ちなみに、クリスマスツリーの習慣は1419年、ドイツに一番最初の記録がある。これが、後に英国ではヴィクトリア女王によって広まった。ドイツ出身の夫のために飾ったのが最初らしい。

▼しかも、これに使われる「モミの木」だが、なんと世界中でモミの木を使うのは日本だけというのだから驚きだ。どこで間違ったのだろうか。ヨーロッパで広くクリスマスツリーに使われる木、「ドイツトウヒ」の学名が Picea abies 。このabies がマツ科「モミ属」の属名 Abies と同じなので混同してしまったのだとか。 なんと、日本でモミの木が使われるのは“うっかりミス”によるもの、ということになる。

▼ところで、「クリスマス」とひとことで言うが、そもそもこれは何なのか。イエス・キリストの誕生日ではない。聖書にも誕生日は書かれていない。「イエス・キリストが世に現れたことを記念する日」が、クリスマスなのだ。

▼そもそも、イエス・キリストがマリアから生まれたのが何月何日かは分らない。ただ、聖書の記録を読む限り、どうやら生まれたのは夏だったらしい。これはよく解説される話だが、「野宿していた羊飼いたち」が誕生したばかりのイエス・キリストを拝みに来たという記述がある。ただでさえ内陸性気候の荒れ野は、夜はひどく冷え込む。まして冬には、とても野宿なんかできやしない。

▼では、いったい全体、なぜそれを12月25日にしたのだろうか。一説には、異教の習慣によるとも言われる。ローマ帝国では太陽神を崇拝する宗教の影響によって、冬至の祭りを12月25日に祝う習慣があった。冬に向かって日が短くなっていくが、冬至を境に日が長くなるため、冬至の日は“太陽の誕生日”とされた。それでキリスト教の伝来後、キリストが世に出現したことを太陽の誕生になぞらえて、冬至の日にクリスマスを祝うようになったという説である。

▼このように異教的な要素が残っていることから、クリスマスだからといって、宗派によっては特別な行事をしないところもあるらしい。

▼さらにいえば、中東やバルカン半島、中央アジアに数限りないイスラム教のモスクがあるが、あれはもともとキリスト教の教会だった。オスマン・トルコ帝国が征服していったときに、キリスト教会をすべてイスラムのモスクに代用したのが始まりとされる。

▼だから、歴史的な古いイスラム・モスクは、壁のモザイク模様を剥ぎ取ると、裏からいイエスや聖母マリア、聖人たちの絵が現れてくる。モスクは、イスラムの専売特許ではないのだ。

▼冒頭で紹介したうちの一番下の息子だが、もちろんイエスのことなど眼中にない。それどころか、イエスの存在すら知らない。クリスマスといえば、サンタクロースしか思い浮かばない様子。なぜプレゼントがもらえるのか、もらえない子がいるのか、といったような「由来」などは、当然ながら興味の外である。

▼ほとんど、お正月の「お年玉」感覚でしかない。しかも、「サンタなんかいないんだよ」とのたまう一方で、とても物など入りそうにない小さな靴下を(どこで覚えてきたのだろう、靴下を)、寝る前に頭のところにしっかり置いたりしているのだ。

▼そして、朝、靴下の上にプレゼントがあるのを見ると、「あーっ!」と起き抜けに絶叫し、「サンタがほんとに来たあぁぁ~」と眼の色を変えている。不思議な“動物”だ。頭の中の構造は、いったいどうなっているのやら。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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