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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第208回・お正月のいろいろ(前編)

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【閑話休題】第208回・お正月のいろいろ(前編)

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-01-06 18:45:00]

【閑話休題】第208回・お正月のいろいろ(前編)


▼遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年は、積年の悲願達成がかないますように、お祈りいたします。年明け早々とはいえ、やや時宜を逸した感がありますが、とりあえず、おせち料理の話から。

▼言わずもがなだが、正月というのは、1月31日までのことを言う。一般に誤解しがちなのは3日までだという勘違いで、こちらは「松の内(三が日)」である。もっともこの松の内も、江戸時代途中までは1月15日までを、それと称した。

▼その後、寛文2年( 1662年)、幕府通達によって、松の内を1月7日までに短縮し、元旦の飾り納めをすることとなった経緯がある。一部に、1月20日までという習慣もある(二十日正月、骨正月)。

▼さて、お正月に欠かせないとされてきた「おせち」だが、とてもではないが、個人的にはそれほどおいしいとは思えない。基本的には、冷蔵庫のない時代から培われた食文化だけに、やや保存食的な傾向が強いのだとは思うが、それだけに、語呂合わせによる“願掛け”の意味合いが強い。「美味い、まずい」は二の次なのだ。

▼海外には、こういったおせちに相当するようなものがあるのだろうか。そもそも、ご存知のように、ヨーロッパやアメリカとキリスト教の地域ではクリスマスが大事とされているので、お正月はそれほど盛り上がらない。

▼それでも、イタリアの豚足のソーセージ「ザンポーネ」、オランダの揚げドーナツ「オリボルン」、フランスの「ガレット・デ・ロワ」というケーキのように、お正月に食べられるものはあるようだ。

▼たとえば、イタリアの年越しそば的存在なのが、豚足にさまざまな部位を詰めるソーセージ「ザンポーネ」。見た目からして迫力があるが、味わいもかなり濃厚なので、意外に量はそれほど食べられない。ザンポーネには「レンキエッテ」(レンズ豆)の煮込みを添えるのが定番らしいが、レンズ豆は形がお金に似ているので、大晦日に食べるとお金持ちになれると言われているようだ。

▼オランダの年越しにかかせないのが、揚げドーナツ「オリボルン」。コロッとした丸い形のドーナツだ。オランダでは、大晦日にはオリボルンをつまみながら年を越すのが恒例。自宅で作る人もいるようだが、街中で買う人も多く、大晦日には長い列ができる屋台も。プレーンのほかにレーズン入りのものもあり、粉砂糖をかけて食べる。ただ、ザンポーネもオリボルンもともに年越し用なので、おせち的なものではない。

▼さて、フランスだが、「ガレット・デ・ロワ」は、「王様のケーキ」という意味になる。そもそもキリスト教の暦では、1月6日が「エピファニー」というお祭りらしく、クリスマスから12日目のこの日は、東方から3人の王様が星に導かれてフランスにたどり着き、キリストに贈り物を贈って誕生を祝った日とされている。カトリック教国では、6日にクリスマスプレゼントを子供たちがもらうという習慣があるようだから、基本的にはお正月という意味合いではない。あくまでクリスマスの延長線上のものであり、その最後を飾る風習なのかもしれない。

▼一方、アメリカはどうだろうか。アメリカでは、地域・家庭によって、お正月に食べるものに違いがあるようだ。南部では、「ホッピン・ジョン」という、ブラックアイドピー豆、そしてごはんが入った料理を食べる。家庭によってスープのようだったり、汁気がまったくなかったり、と様々なようだ。

▼ブラックアイドピーとは、大豆のようなクリーム色のお豆に、黒い目がついているものだ。コインの象徴として、お金を呼ぶ縁起のいい食べものと考えられているらしい。また、豚肉も幸運を呼ぶ縁起のよいものと思われていて、ホッピン・ジョンに入れたり、そのままローストポークとして食べられている。キャベツも縁起がよいとされ、ポークと一緒にサワークラウトという、すっぱい千切りキャベツのお漬物みたいなものにする。またコーンブレッドもトーストなどにしてよく食べられる。

▼しかし、特別なお正月料理を食べない家庭も少なくないようで、「お正月の味はない」というアメリカ人の声もよく聞く。ただ、お母さんがお正月にマッシュポテトを作り、その中に小さなおもちゃのコインなどを入れたりする「仕掛け」は、各家庭ごとに結構あるらしい。自分が取ったお皿のマッシュポテトにコインが入っていたら、その年はお金に恵まれる、というお正月のゲームをするのだ。いずれにせよ、多民族国家のアメリカである。日本のおせち料理のような全国的な定番ものは、さすがに見当たらない。

(明日の「後編」に続く)

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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