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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第209回・お正月のいろいろ(後編)

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【閑話休題】第209回・お正月のいろいろ(後編)

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-01-07 18:45:00]

【閑話休題】第209回・お正月のいろいろ(後編)


▼ところで、お正月といっても、アジアでは旧暦に基づいた旧正月のほうを祝うことが多い。例えば、中国では爆竹で賑わい、獅子舞が踊る。そして、肉団子料理や腸詰、肉の干物のほか、餃子、餅と、日本のおせち料理のような、縁起のよい食べものを早い時期から仕込む習慣がある。

▼とくに、日本人に馴染みが深いものでは、なんといっても餃子であろうか。通常大陸では、ふだん焼き餃子を食べるという習慣が昔からなかった。私が常駐に近い状態で大陸をうろついていた1980年代前半は、焼き餃子を食べたくとも、ほとんどその機会はなかった。

▼せいぜい、お正月に各家庭のお母さんがのんびりできるようにと、事前に大量の餃子をつくって、お正月にそれをパクついていたようだ。しかも、数少ない私の経験からすると、餃子に「ニンニク」が入ることは、100%なかった。ニンニクは生で、別の皿に盛られていた。生のニンニクをかじりながら、餃子をひたすら食べるのだ。

▼うまいというか、強烈というか、胃が踊るというか、この判断は人によってかなり微妙だろう。ちなみに、日本では定番となっている「ザーサイ」も、ふだん食堂などでお目にかかることはなかった。聞けば、ザーサイのようなものは、とてもではないが「売り物」になる食材ではない、という認識だったようだ。

▼もっとも、これは正月前後(旧暦、新暦を問わず)、私は華北から満州(現在の東北地方)にいることが多かったためかもしれない。南部へ行けば、また違った正月料理の風情が見られたかもしれない。

▼しかし、餃子と言っても、基本的には水餃子が大陸では一般的だった。これは台湾でも同じで、水餃子であれば、ふだんから食する機会は多かった。が、焼き餃子だけは「まぼろしの中華料理」と言っても過言ではなかったのだ。

▼なお、お正月というと、どうしても、新暦・旧暦の違いばかりが頭に浮かぶが、タイ、ミャンマー、ラオスのような仏教国では仏暦をもとに4月ころ正月を迎える。タイのソンクラン、ミャンマーのディンジャンのような「水かけ祭」りは、テレビなどでも紹介されているのでご覧になった方もおありだろう。所変われば、ずいぶんと習慣も違う。

▼韓国の旧正月(ソルラル)に欠かせない料理といえば、韓国版お雑煮「トック」。現在でも数え年をする韓国では、「一杯食べるとひとつ年を取る」といわれている正月の定番メニューである。牛肉や鶏肉で出汁をとったスープに、小判のような形に切った餅がたっぷり入っている。ちなみに、韓国の餅はうるち米を使っているので、日本の餅と比べて粘り気が少ないのが特徴だ。

▼スリランカの正月は「シンハラ・タミル正月」と呼ばれるもので、例年4月13、14日ごろに行なわれる。はっきりした日取りは1ヶ月くらい前に、占いで決まるのだという。またユニークなことに、新年最初に行なうさまざまな行動についても、その時間が決められる。そのため、正月の朝は、決まった時間にかまどに火をつけ、決まった時間に決まった方向を向いて食事を取ることになる。どこか、節分の“恵方巻き”にも似ている。新年の食事の定番メニューといえば、「キリ・バットゥ」というココナッツミルクで炊いたご飯(ミルクライス)。ほかに、バターケーキ、バナナなども並ぶ。

▼モンゴルではどうかというと、かなり中国に似ている。モンゴルの旧正月(ツァガーンサル、白い月の意味)は、モンゴル暦で決まり、その時期は1月下旬~2月中旬ごろ。暦の上では、元旦から春になるようだ。

▼そんなモンゴルの正月料理と言えば、羊肉の蒸し餃子ともいえる「ボーズ」が代表的。大晦日までにたくさんのボーズを作るのだが、1000個以上のボーズを作る家庭も珍しくないらしい。そして、飲み物は発酵させた馬の乳から作る酒「アイラグ」が定番。アルコール度数が1~2%と低く、たくさんでなければ子どもが飲んでも大丈夫のようだ。「白い月」という名のとおり、食事も白いものが中心である。

▼ベトナムでは、日持ちするもち米のちまきが名物。ベトナムの正月は「テト」と呼ばれ、これは中国の春節と同じ日だ。代表的な料理は豚肉と緑豆を使ったもち米のちまき「バインチュン」。北部では直方形だが、南部では円柱状に作られ、「バインテト」と呼ばれる。テト近くになると、街中でバインチュンを売る屋台を多く見かけるようになるという。

▼ところ変われば、お正月料理も違って当然。とはいえ、こう見渡してみても、おせち料理的なイメージのものは、どの国にもなさそうだ。おせち料理はなんとなく、日本の「弁当」文化に通じるものがあるような気がするのだが、どうだろうか。

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄



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