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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第248回・ウラシマ効果

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【閑話休題】第248回・ウラシマ効果

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-03-05 15:14:00]

【閑話休題】第248回・ウラシマ効果

▼科学の話になると、てんであっちの世界のわたしだ。どうしてもわからないことがあるのだ。タイムマシンのことだ。真面目な話、タイムマシンというのは、おそらく人工的に作ることができるのではないか、という。

▼アインシュタインによれば(俗説だが)、時間というものは、一本の線のようなもので、過去から現在、未来に向かって一方的に進行しているわけではない、という。同時に存在しているから、往来することが可能だということらしい。

▼ほんとうにそうなのだろうか。この俗説の元となっているものに、アインシュタインの「特殊相対性理論」というのがある。これは、物体が移動する速さが高速であればあるほど、その系の時間の流れが遅くなる、という現象のことだ。頭の悪いわたしなどは、これを浦島太郎にちなんで「ウラシマ効果」と呼ぶ。

▼この特殊相対性理論では、光の速さに対する物体の速さの比の2乗を、1から引いて、さらにその平方根(√、ルート)の分だけ時間の進み方が遅くなるという。

▼具体的に計算して見せてくれた人の例を引用してみよう。光の速さの60%で飛んでいるロケットの場合、0.6の2乗は0.36になる。これを1から引くと0.64だ。さらにこれを平方根をかけると、0.8になる。

▼つまりである。ロケットが1秒間に飛ぶ間に、なんとロケットの中では時間が0.8秒しか進んでいない、ということなのだ。前にも電車の例で、この話を紹介したことがある。わたしには到底、わけのわからない話だ。

▼でたらめを言うな、と罵倒したところで、数式を持ち出して、こうなんだよ、と言われてしまえば、ぐーの音も出なくなるわたしがいる。

▼話を例えればみれば、である。地球上と、宇宙にいるロケットと、両方で同時に子供が生まれたとする。地球上の子供が50歳になったときには、ロケットで生まれた子供は、まだ40歳だということではないか。思わず「マジですか」と言いたくなる内容だ。

▼映画に、「猿の惑星」というのがあった。1968年に一度映画化されている。より原作(ピエール・ブール、1963年作のSF小説)に近いとされているのが、二度目の映画化( 2001年)のほうだ。さらに2011年、着想は同じだが、まったく筋立ての違う映画化がされている。

▼宇宙空間で恒星間の遊覧飛行を楽しんでいたものたちが、何百年後という未来の地球に降り立ってしまう。そこでは、猿が支配し、人間が家畜化されている世界だった。といったようなモチーフだが、この時間差という概念は、まさに「ウラシマ効果」のことである。

▼しかし、この「ウラシマ効果」では未来における時間差を説明しているだけであって、わたしのような素人には、過去に戻る話とは違うようにしか思えない。もっと、よくこういった原理をわかりやすく説明できる人を探さないといけない。こういう疑問が一回頭に浮かんでしまうと、どうにも夢見が悪くて仕方がないのである。

▼蛇足だが、ちなみに上記の「猿の惑星」は、ピエール・ブール(フランス人)が、第二次大戦当時、仏領インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)において、有色人種の現地人を使役していたのだが、戦争で日本軍の捕虜となり、有色人種に使役されながら、1年半の屈辱的な収容所生活を送ったという経験を基にしている。(つまり、あの映画の猿は、日本人ということになる。)

▼つまり、「立場の逆転」した苦い経験が、あの原作のモチーフなのである。この小説を書いた理由が、本人の人種差別意識や、人種的優越感などが、いたく損なわれたことへの報復的動機なのか、それとも、人間社会の皮肉な断面を客観的に切り取って見せるつもりだったのか、そのへんのところは、定かではない。

▼実際、アメリカを中心に(あとはイタリアのマカロニウェスタン)、西部劇でやたらとインディアンを野蛮扱いして、白人優越的な映画を作り続けることができなくなった。そのため今度は「有色人種」を、「猿」などの動物に「見立てる」という、白人たちの新たなカタルシス(代償行為)だという指摘は多い。

▼まあ、しょせんどちらでもよいことだが。フランスの大思想家ヴォルテールに言っているように、「つっぱったところで、しょせんてめえの尻の上にしか座れない。(「カンディード」より)」のだから。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄


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