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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第264回・熊撃退法

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【閑話休題】第264回・熊撃退法

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-03-28 15:08:00]

【閑話休題】第264回・熊撃退法

▼春になると、山には熊が出てくる。4月中旬から5月中旬は、冬眠から醒めて各地で出没し始めるのだ。腹が減っているから、とくに危険だと言われる。

▼最近では、野生動物と人間の生活圏の境界がほぼ接してきているため、本格的な登山をしなくても、熊に遭遇する機会が増えている。ほんのハイキングや、山菜狩りに出かけても被害に遭うケースが多い。

▼現在、日本では本州以南に月輪熊が8,600~12,600頭、北海道には羆(ひぐま)が1,900~2,300頭棲んでいる。意外に少ない。

▼熊に対する対処法では、さまざまなことが言われるが、虚実入り混じっていて、一体どれが有効なのか、よくわからない。

▼よく言われる防衛法としては、鈴(熊鈴、ベアベル)というのがある。ちりんちりんというよりは、がらんがらんと鳴るやつだ。しかし、これは人間を警戒している熊には有効だが、警戒しないで確信犯的に襲ってくるケースでは役に立たない。

▼ましてや、始終鈴が鳴っているので、こちらがそのほかの異常な音に対して(熊が接近してくる音や気配)に気づきにくいのだ。それよりも、笛を持っていて、歩きながら、ときどき吹いてみるのが有効だとも言われる。

▼襲われた場合、昔から「眠ったふりをする」というのがあるが、まったく論外だ。熊が、食べ物として人間を襲っている場合には、まったく殺してくれと言わんばかりだ。

▼熊が人間を襲うのは、この食べ物として狙うというほかに、( 2-3歳の若い熊に限られるが)戯れてきて、苛立って、次第に興奮して襲うというのもある。また、一番危険なのは、子連れの母熊と遭遇した場合だ。向こうがこちらを危険物と認識して、排除しようと襲ってくるケースだ。

▼それぞれに対応の仕方はあるようだが、決定打は無いといっていい。ただ、熊が基本的には左利きだということは、知っていても損はないようだ。格闘技の世界では左利きに対し、足を右前にして左フックを右手でガードするのが基本的防御方法がある。格闘技をやっていないと意味が分からないかもしれないが、クマが左利きと知っているハンターは、襲いかかって来られた時にこの習性を考慮して行動する。たとえば、自分の顔を物で防御する場合、右側を防御する。回り込んで逃げる場合に、熊に対して右側から回り込む。

▼昔は、木に登るという避難方法が言われていたが、そのうちに熊も木登りが上手であるということが知られて、この対処法はすたれた。しかし、戦うのであれば、平地での接近戦に比べ、木の登って上位から、ブーツで蹴り飛ばすなり、ナイフや棒で傷つけるなり、熊を攻撃するほうが圧倒的に有利であることは間違いない。

▼平地での接近戦にしろ、木上での接近戦にしろ、熊に痛打を与えるのは、なにより一番有効な撃退法であることは間違いない。熊は全身に痛点があるのだ。眼や顔など、急所をねらう必要がない。どこでもよいから、痛打を与えれば効果がある。だから、修験道の行者たちは、みな金剛杖(こんごうづえ)を持っている。杖の先には、錫杖(しゃくじょう)がしつられており、金属輪がしゃりんしゃりんと、地面を突くたびに音を立てるあれだ。

▼錫杖の先は尖っており、槍の代用品になる。しかも長いので、距離を保った攻撃が可能だ。とくにナイフや、傘の先のようなもので、熊の全身のどこでもよいから痛打を与えると、熊はさすがに痛いのは嫌だから、逃げることが多いらしい。

▼法螺貝も、なにも煩悩を消す意味合いだけではない。山で熊などに遭遇しないような、防御音として、ときどき吹くのだ。先述の笛と同じ。修験者というのは、さまざまの装備が、宗教上の用途だけではなく、あきらかに防御的な効果まで考えられている。

▼とにかく全力で逃げるしかないのだが、逃げるものを追うという性質もあるので、危険とも言われるが(なにしろ熊は車並みに早く走る)、逃げ切った人たちも多くいるので、なんともいえない。

▼要は、最悪接近戦になった場合に、ひるまず徹底抗戦以外にはない。向こうも必死だが、こちらも死に物狂いで痛打を与える以外にはないのだ。次善の策として、食い物を撒き散らして逃げるということもよく言われる。

▼けっきょく食い物が目当てである場合、熊の注意をそこにそらしているうちに、全速力で逃げて距離を稼ぐというわけだ。とくに、食い物の匂いに執着するので、この点は覚えていたほうがいいようだ。

▼意外に有効だと言われるのは、傘をぱっと開くという行為らしい。これは、びっくりして逃げるようだ。それまで無かったものが、いきなり目の前に現れるのだ、それはびっくりだろう。

▼それが、休憩するときなどに使う大きなブルーシートである場合には、もっと有効なのだそうだ。逃げ切れない、と思ったときに、ブルーシートをいきなり、目の前で、大きくぱっと上下に広げるのだ。熊は突然、自分より背丈の大きなものが出現したと思って、驚愕して逃げる。

▼実際に、それで助かった人の経験談である。文字通り猪突猛進してくる野生の「いのしし」も、ブルーシートを突然上下に開いたり、傘をぱっと広げると、あの猛スピードが直前で停止して、慌てて来た方向に一目散に逃げていく実験映像を見たことがある。おそらく、あるていど熊にも有効なのかもしれない。

▼とにかく山は、近年非常に熊という存在に関しては、危険度が高まっていることは確かだ。年配の人、とりわけ団塊に相当する年齢の人たちは、世代別にみても、非常に登山を好む。よくよく注意していただきたい。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄


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