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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第279回・続続 戦略の要諦

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【閑話休題】第279回・続続 戦略の要諦

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-04-18 15:19:00]

【閑話休題】第279回・続続 戦略の要諦

▼二回続けて、成長株理論のオニールの名言ばかりを羅列した。ここで、それ以外の人たち(グロース派も、バリュー派も)の名言をランダムに列挙しておこう。

●市場というのはやりたいことをやる。市場に逆らっても損するだけだ。(読み人知らず)

●投資家が優秀でないならば、ヘッジはするべきではない。投資家が優秀であるならば、レバレッジの必要がない。(ウォーレン・バフェット)

●わたしは、人気業種の中心となっているトップ銘柄には絶対に手を出さない。がたがたで誰も見向きもしないような業界の中で健闘している会社を探す。ポイントは、最後まで生き残って、(ライバルがすべて退場し)残存者利得があるかどうかだ。(ピーター・リンチ)

●わたしは、業界の先導企業ではなく、それによって利益を享受する川下企業をねらう。(ラルフ・ワンガー)

(筆者註:これは19世紀のゴールドラッシュの時代、金鉱株や、運搬する鉄道株などの大相場があった際、実は一番上昇したのが、「つるはし」を製造していた会社の株だったという有名な話があるが、こうしたことに通じる名言だ。)

●わたしが痛感していることは、物事はほとんど変わらないということだ。最近の下げ相場で人々が蒙った損失は、並外れたものだったかもしれない。しかし、その損失に導いた原因や過ちは、けして並外れたものではなかった。(Wオニール)

(筆者註:投資をするために、人はいろんな勉強をし、知識を積み上げようとする。これは良いことだが、実は敗因の多くは、もっとずっと単純かつ、いつも同じ過ちであるということを言っている。つまり、勝負の負けを認めず、被害を大きくしてしまうという、たった一つの敗因がすべてだということだ。)

●トレンドに逆らうな。迷ったら手仕舞え。しかし、明確な理由がないまま手仕舞いはするな。わずかな利益を目当てに売買するな。過剰に頻繁な売買は避けよ。損切りしたら、次の売買は資金量を減らせ。(ウィリアム・ギャン)

(筆者註:一番ポイントとなるのは、「明確な理由がないまま手仕舞いはするな」というところ。狼狽売りは避けよということだ。これは大変難しいことだが、できるとしたら、中長期的な見通しに大きな変化があるのか、マクロ的に環境が激変しているのか、というきわめてファンダメンタルズ的なバックグラウンドがあるかどうかで、明暗を分けそうだ。)

●買い持ちと空売りを同時にやってヘッジすることは避けよう。コールを売って、プットを買うのは賢いやりかただと思うかもしれないが、自分で自分の首を絞めることになりかねない。両方のポジションで手仕舞いのタイミングを間違え、両方で損してしまう可能性もある。シンプルにやる事だ。ただでさえ、投資は難しい。自ら込み入った事をして、話を複雑にしないことだ。(Wオニール)

(筆者註:金融工学を駆使した、プログラムトレーディングでは可能かもしれないが、けっきょく証券業界では、完全システム化の試みは、人間のマニュアルによる投資判断に打ち勝つことができなかったという実験がある。ましてや、人間がこうしたきわめて機械的な技法を行うということは、自己撞着も甚だしいと言うべきだろう。)

●ギャンを始め、あらゆる占星術師(テクニカル分析)たちの理論を研究してみた。それらは結果的に、時間の無駄だった。・・・人はわたしをチャートしか見ないテクニカル・トレーダーだと思っているようだが、わたしはどんなときでもファンダメンタルズを重視している。テクニカルはアクションを起こすときに使っているだけだ。(ラリー・ウィリアムズ)

(筆者註:世界のデイトレ・トーナメントで連続チャンピオンになったような人物の言葉。文字通り、受け止めるべきだろう。)

●幅広い分散化は、知識不足に対するヘッジでしかない。なにを買ったらいいのか分からないから、よく知らない銘柄を少しずつたくさん買うだけのことだ。(Wオニール)

●科学とは対照的に、金融に関する仮説は、真理でなくとも利益をもたらすことができる。それが一般に受け入れられるようになるだけで十分である。・・・株価とは、共同の幻想に過ぎない。理論価値という幻想を追い求めて、実はつねに間違いを繰り返しているのが株価というものの実体にほかならない。(ジョージ・ソロス)

●最近では金融工学を駆使したさまざまな投資手法が編み出されている。しかし、投資判断をする上で、四則計算(+-÷×)以上に複雑な数式が必要だと言うのであれば、その考え方はきっと何かが間違っている。(ベンジャミン・グレアム)

●ナンピン買い・買い下がりは絶対にするな。優秀なプロは買い上がりをするが、買い下がりはしない。最初のロットが含み益を出していない限り、けしてそれ以上金をつぎ込んではならない。(Wオニール)

●個人はどれだけ冷静だと自負していても、株を買った瞬間に株価の奴隷と化す。衆愚を動かしているのは、恐怖と欲望である。(読み人知らず)

●熱狂(マニア)で売り、恐慌(パニック)で買え。(ジョン・メイナ-ド・ケインズ)

(筆者註:ケインズは、経済学者ですが、わずかに「雇用・利子および貨幣に関する一般理論」という、非常に短い論文があります。岩波文庫などでも、きわめて薄い本ですから、すぐ読めます。この本だけが、ケインズによるまとまった株式投資に関する著作といってもいいでしょう。有名な「アニマル・スピリッツ(血気)」という言葉は、予測不能な不確実性下であっても、果敢に投資活動を行う投資家の心理を表現した有名な言葉になりました。)

▼なかなか誰も、金利について言及してくれないので、わたしが敢えて、生意気にも偉人たちの末席の末席を汚して、一家言述べてみよう。

「世界を動かしているのは負債である。世界は、政治でも、哲学でも、科学でも、宗教でもない、経済によって動いている。経済は、カネでも、金(ゴールド)でもダイヤでも、愛でもなく、負債によって動いている。つまり、金利である。金利がわからないのに、株をやってはいけない。」

▼株式投資というのは、いわゆるビギナーズラック(初心者の偶発的な幸運)に出くわす機会が多い世界だ。しかし、それが続くほど、甘くはない。けっきょく勉強を積み重ねた人だけが、持続的な勝利を手にする入場券を持っている。

▼なにも知識や経験が無ければ、株式相場は間違いなく最終的には敗退する。しかし、あまりにもたくさんのことに目移りしても、思考が混乱し、やりかたに一貫性が保てず、虻蜂取らずでけっきょく敗退する。

▼本当に大事で、知らなければいけないことは、実はそんなにたくさんあるわけではない。その本当に大事なことが分かってしまえば、いきなりパフォーマンスは改善する。その10項目前後のほんとうの大事なことというものが、株式投資の本当の意味での有効フロンティア曲線なのだ。

▼やがて、その本当に大事なことの数は、おそらく10項目も無いだろう。そして、それを上回る知識や技術があっても、それによる運用成績の改善カーブは、ほとんど変わらなくなってくる。10項目以上は、単なる自己満足か、あるいは機関投資家などの自己正当化のための工夫以外のなにものでもない。逆にどんな技術や知識があっても、本当に大事な10項目のことがわかっていなければ、そのプロは、それを知っている個人投資家の足元にも及ばないレベルだと言いきってよい。しかし、そんな程度のプロが、金融業界には呆れるほど多いのが現実だから、悲しくなる。

以上




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