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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第309回・久々に大相場の足音〜日経平均16000円で止まらないシナリオ

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【閑話休題】第309回・久々に大相場の足音〜日経平均16000円で止まらないシナリオ

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2014-06-04 07:20:00]

【閑話休題】第309回・久々に大相場の足音~日経平均16000円で止まらないシナリオ

▼たまには、閑話休題とはいえ、純粋に株の話でも良かろうと思う。ちょうど手に汗握る重大な局面にさしかかっているからだ。

▼日ごろ、「朝・昼の作戦」「今日のまとめ」、週末の「編集長の独白」と分析と戦略を縷々書き連ねているが、足元の戻り相場から、果たしてどう転換していくのだろうか。一応、正規のコラムではなく、息抜きの「閑話休題」だから、基本強気の筆者としては、ここで大法螺でも吹かせていただく。まじめに読まないように。あくまで希望的観測、妄想である。

▼誰もが注目している木曜日夜のECB理事会、金曜日夜の米雇用統計、この二つで、頭を抑えられ、打ち返されるか、それとも、続伸加速となっていくか、これで市場においても喧々諤々である。

▼結論から言おう。わたしもどっちかわからないのだ。短期的に、である。というのも、どういうわけか市場には、イベントドリブンを気取るやからが多い。ヘッジファンドがその大部分だが、彼らはイベントの発生前と、後とで、ポジションを引っくり返すという、非常に悪質な癖を持っているのだ。

▼たとえば、雇用統計で言えば、今年ことごとく、雇用統計の前まで株価は上昇し、雇用統計で下落するというサイクルを繰り返してきたのだ。その元凶が、このイベントドリブン型と呼ばれるヘッジファンドの手口だったことは確認されている。

▼もし同じことが起こるのなら、足元で起こっていることは、雇用統計で反対になるわけだ。ユーロは売られていたから、買い戻される。欧米株価指数は新値更新で、日経平均も反発してきたわけだから、売りなおされる。従来なら、このパターンになることで間違いなかった。一応、この波乱は念頭に置いたほうがいい。だから、今週は、ことさら積極策には出ないで、多少ともキャッシュを温存しながら、迎え撃とうと、いうのである。

▼しかし、である。そもそも、東京市場がまったく年前半どうしようもない相場だった、最大の要因は、米国10年国債利回りが、驚くべきことにずっと低迷していたからだ。これに連動するドル円は、当然のように停滞し、日経平均も上がろうとすれば、叩きおとされるというレンジトレーディングを余儀なくされてきた。

▼さまざまなノイズはあった。しかし、決定的なものが、もしこの米国長期金利であるとすると、実は今週末以降、異変が起こることになりそうだ。

▼そもそも、昨年5月以降、米国連銀が、量的緩和策の縮小予告し、年末には開始。この一連の流れは、来年の利上げへとシナリオ・コンセンサスが市場で織り込むものだった。当初は、前足をかく嫌いのある市場が、早とちりし、すぐにでも利上げ準備に入るといったような性急な織り込みかただった。だから、昨年後半、そして今年前半と、米国債へのヘッジ売りも含め、先物の売り建て玉は、増大また増大だった。

▼シカゴの米国10年国債の投機筋の売りポジションを見ると、これは昨年後半・今年前半で際立って多かったことが確認されている。積み増し積み増しできたのである。だから、一事は米国長期金利は3%まで上昇した。ところが、ここ1ヵ月、急速にその建て玉が減少している。先週の段階では、ほぼゼロに近づいているのだ。それが、2.5%割れまで米国債が買われた、最大の理由だと考えられる。

▼ということは、これまでは、米国でよい経済指標がでても、まったく長期金利が上昇せず、最大のミステリーとまで言われたものだが、利上げはまだ思っていたより先のことかもしれず、だったらまだ国債を売ることもない、買い戻そうということになっていたのだ。だから、売り建て玉が急速に減少したのだ。そして、今はほぼニュートラルに近い。つまり、ここからは経済指標の強弱を、素直に長期金利が反映するようになると考えられるわけだ。

▼日本もようやく、米長期金利上昇=ドル高=日経平均上昇という本筋の相場が現出してくるだろう。もちろん、米国の経済指標が強いという前提でだが。そして、米国の景気は住宅にやや軟調さがあるが、基本的には強い。自然な流れがここから出てくるとしたら、長期金利の上昇である。

▼米国の長期金利上昇なら、当然ドル円は上昇する。日経平均は連動して上昇する。あたりまえの相場展開が復活するはずだ。

▼これを知ってか知らずか、安倍政権は先週終わりから、どういうわけか立て続けに政策がらみの話を毎日のように打ち初めている。昨日の「今日のまとめ」で述べたように、サマーラリーは、16000円までは既定路線。問題は、その上を遥かに上回る伸びを見せてくれるかどうか、である。

▼びっくりしたのは、先週土曜日のNISA枠拡大の話だ。これに続いて、出るわ出るわ。山手線泉岳寺駅正式決定(オリンピック、リニア新幹線に向けて)、リニア新幹線をオリンピックまでに大阪まで延伸する話、GPIF(年金積立基金独立行政法人)の株式20%でも高すぎないという運用委員長の談話、麻生大臣の代替減税が確保できるなら、法人税減税は来年にもやぶさかではないといった談話(当たり前の話だが)・・・。

▼安倍政権は、首相官邸執務室に株価ボードを入れさせた歴史上初めての内閣だ。良いか悪いか議論はあるだろうが、ご本人は、株価が上がることが、自分への支持率だということを、痛切に感じ取っている。株が上がるまで、政策を打ち続けるだろう。では、いつまでか? 消費税増税第二弾を打っても大丈夫だ、と確信が持てるまでに決まっている。漬物石より硬い頭がそろった財務省とのバータだろう。しかも、相場がいったん終息するときには、行きすぎなければ、けっして終わらない。

▼本来想定されていた、米国経済の回復シナリオ→利上げ織り込みで、米長期金利上昇。日米金利差拡大の相場が復活してくる。おそらく米国の潜在成長率の3%くらいまで長期金利が上がっても、米国株式相場は耐えられる。むしろ国債から、資金が株式へと還流するから、史上高値更新が続く可能性もある。日本では、国内勢力が動きはじめていることは、主力大型(日立、トヨタのような)が堅調なのを見れば明らかだ。

▼しかも、外人は先週から、日本企業調査と称して、大挙して殺到してきている。来週一杯までこの、日本企業巡りがラッシュだそうだ。これに外人がおっとり刀で参戦してくる。

▼ただ、ここに問題がある。すんなりこのシナリオに相場が移行できるか、ということだ。冒頭で述べた、イベントドリブン型のヘッジファンドの手合いがなにを策しているか、なのだ。今週木曜日・金曜日で、上記のヘッジファンドはどう動くだろうか。

▼だから、戦略的には、やや株式保有分は軽くしたほうがよい。半身で構えていたほうが良さそうだ。週末、欧米で一体どういうポジションの転換がはかられるか、皆目わからないのだ。

▼彼らの従来のパターンで行けば、ECBは、利下げのみ行い、リップサービスで量的緩和の含みを残す。しかし、それで出尽くしだろう。一度政策が出れば、しばらくは出ないからだ。出尽くしというやつだ。結果、ユーロは反転上昇。米国では、おそらく引き続き雇用統計が強さを一段と示すだろう。ドル高は進む。米国債は、空売り分がほぼなくなっているので、買い戻す需給要因は無い。強い経済指標に反応して、自然に売られる。長期金利は上昇する。ドル円と米長期金利は、長い膠着状態から脱し、上にブレイクするのだ。欧米株式市場が、すんなり国債から流出した資金の受け皿となって、一段上昇加速する。日経平均は、欧米株式上昇と、米長期金利・ドル上昇をの両方で、ダブルインパクトとなって戻り相場一巡から、これも上昇加速する。

▼こういうシナリオが現実になった場合、日経平均が16000円(ここからたった1000円上である)までで止まるような相場なのか、正直疑問が多い。そんなもので済むのかと思う。といって、16000円という水準は、従来のパラメーターで言うと、米長期金利3%、ドル円105円で、はじめて日経平均16000円である。やはり、指数は16000円ていどまでの上昇で終わるのか。

▼しかし、こうも考えられる。相場というものが、行き過ぎないと終わらないとすれば、誰もが米長期金利上昇の限界線と思っている3%を、ふつうは突破する。オーバーシュートだ。3.2%か、3.5%かそれはわからない。いずれにしろ、3%突破であれば、話は別だ。従来のパラメーターでは、4%で、ドル円が110円、日経平均で22000円であるから、3%超ということになると、日経平均は18000円から20000円という線が、相場過熱の場合にありうる限界線ということになってくる。

▼時間は短い。どうがんばっても、お盆までとすれば、(そのへんから、秋口の、ファンドの損益確定シーズンが到来する。機関投資家は、売り手に回る時節だ。)2ヶ月半。この2ヵ月半を、短いと思うか、長いと思うか。相場次第ということになりそうだ。

▼考えてみるがいい。木曜日・金曜日の重要イベントで、ヘッジファンドが、これまでの手口と反対をしようとしても、(つまり、上昇した欧米株式相場を売り崩そうとしても)しょせん強い経済指標の米国を崩すのは容易ではない。長期金利がすでに4%、5%といった高い位置にあるなら、暴落させることも可能かもしれない。が低すぎる。金利が低くて暴落することは、まず考えられない。

▼彼らは、年初からイベントドリブン型のヘッジファンドでさえ、平均の運用パフォーマンスが3-4%でしかない。相当焦っている。それなら、上昇加速を煽るほうが楽だと考えるのではないか。また、世界を見回したとき、ここで一番「とりやすい」のは、日本株だと考えてもおかしくない。なにしろ、80年代以降、初めて、日本株のPERが欧州のそれを下回っているのだ。

▼しかも、安倍政権、やる気満々である。先週から矢継ぎ早の談話は、何ごとかを意味しているように思えてならない。カジノがもしかしたら通るのかもしれない。法人税減税が、急遽めどがたつのかもしれない。いずれにしろ、なにか出そうだ。安倍政権の直近のアクションは異常だ。

▼さてこの妄想は現実のものとなるだろうか。仮に、予想外に下ブレの波乱が起きても、逆に上昇加速だったとしても、少なくとも、今まで反発してきた東京市場の戻り相場とは、物色の手変わりは、十分に考えられる。とくに、ディフェンシブ系の上昇に代表されるような(つまり、薬品や食品など)相場は、がらっと変わる可能性があるということだ。

▼それが、シクリカル(素材とその周辺)なのか、純然たる外需性の輸出系銘柄なのか。いずれにても、物色の主軸は、米長期金利上昇=ドル円=日経平均シナリオか、安倍政権の国策がらみ、という確率が一番高そうだ。そんなイメージで、この週末を迎え撃とうと思っているわけだ。どこかの時点で、見切り発車するかどうか。それはまた、相場分析の本編(朝・昼の作戦や今日のまとめ、編集長の独白)などで判断したいと思う。

増田経済研究所 日刊チャート新聞編集長
松川行雄




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