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増田経済研究所『閑話休題』バックナンバー

【閑話休題】第82回・日本のダヴィンチ・コード(後編)

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【閑話休題】第82回・日本のダヴィンチ・コード(後編)

【日刊チャート新聞記事紹介】

[記事配信時刻:2013-06-28 17:30:00]

【閑話休題】第82回・日本のダヴィンチ・コード(後編)

▼さて、伊勢のアマテラス(女神)とはいったい誰なのか、という点だが、ここから踏み込むと、かなり危ない話になってくるので割愛しておこう。ちなみに、ニギハヤヒの父、スサノオはその象徴字は、「八」と「熊」であるという。したがって、「八」のついている御祭神名や、地名、事物の名というのは、スサノオを指しているか、スサノオに関連している事物の可能性が高い。八俣遠呂智(ヤマタノオロチ)、八重垣(ヤエガキ)、八千矛(ヤチホコ)、八坂(ヤサカ)、八幡(ハチマン)、八咫烏(ヤタガラス)、八雲(ヤクモ)等々。

▼「熊」のほうは、熊野大社、熊野神宮(権現)がまさにそのままである。出雲には、出雲大社が一宮(いちのみや。一国に一つ設けられた)だが、奇妙なことにもう一つ一宮がある。熊野大社だ。どちらがほんとうの一宮なのか。出雲大社は、御祭神が大国主命だが、拝殿で参拝すると、大国主命は真横を向いた格好になっており、いわばそっぽを向いている。

▼そして、参拝するわれわれの視線をそのまま直線的に延長すると、このそっぽを向いた大国主命を通り越して、社殿の裏に驚くべきことに「スサノオ」が祀られている事実がある。そしてスサノオはその実名で、熊野大社に祀られているという事実もある。これ以上の答えがあるだろうか。ちなみに、先述した籠神社の社殿で、京都下賀茂神社の別雷神がニギハヤヒのことだ、としている点だが、上賀茂神社の雷神(イカヅチノカミ)は、このスサノオだとしている。上下賀茂神社で、父子が祀られているわけだ。

▼ついでながら、日本(ひのもと)という国号は、ニギハヤヒが奈良に侵攻するにあたって、盆地を臨み、「この国を日ノ本」と名づける」としたとされている。日本(やまと、にほん)というこの国号を最初に使った人物こそが、太古の最初の統一王朝の大王だったとしても、なんら不思議ではない。ちなみに、ニギハヤヒが、出雲・日向を平定したニギハヤヒは、大和に侵攻した。その直前、その大軍が駐屯した場所こそ、「兵庫」県であり、「神戸」だ。なぜ、兵庫と呼び、神戸と呼ぶのか。この大軍の大和侵攻の拠点・前線基地であり、神の兵(戸)が集った場所という意味である。

▼歴代天皇家が、なぜ、大神神社(倭大物主櫛甕玉命、大物主=ニギハヤヒ)と、熊野権現(その父、スサノオ)をこぞって参拝したのか、その理由はこうした仮説を生み出している。それを本当だと信じるか、ガセネタだと切って捨てるか。それは個人の自由だ。この仮説にも、弱点は多々ある。ただ、確かなことは日本にもダヴィンチ・コードがある、ということだ。

▼ちなみに、宮崎駿のアニメ『千と千尋の神隠し』をごらんになった方は、あの物語の意味の重要な鍵を握る通称「ハク」という少年が登場するのを、覚えておいでだろうか。その正体は白い龍である。呪力をかけられ、湯婆婆(ゆば~ば)の手足としてこきつかわれているのだが、千尋によってその呪縛から解かれることになる。

▼あの「ハク」にかけられた呪いとはなんだったか。「名前を消された(忘れさせられた)」ということだ。そして、「ハク」のその消された名前とは、「ニギハヤミ・コハクヌシ」である。その名前をハクが思い出したことで、呪縛が解かれる。「ニギハヤミ」というハクの本名は、「ニギハヤヒ」と偶然似ているだけだろうか。誰もそうは思わないだろう。

▼宮崎が持統天皇によって正史から「その名を抹殺されたニギハヤヒ」を意識していることは明白だろう。『千と千尋の神隠し』のこんなところに、実は意味深長な「暗喩」が隠されている。言霊信仰が前提になっているが、神の名(言葉)を消すことで、神の存在を抹殺したのだ。まさに「神隠し」だ。神を隠してしまった、日本のダヴィンチ・コードにひそかに、一歩踏み込んだ作品ということになろうか。

▼毎年宮中では、一年間でもっとも重要な祭祀儀礼、新嘗祭(にいなめさい)が行なわれている。五穀豊穣を感謝し、祈るものだ。国民のために、天皇が神と交信する。新嘗祭の日取りは毎年11月23日である。そして、その大祭の前日、いわゆる「前夜祭」が行なわれる。「魔を払い、怨霊を鎮め」、大祭をつつがなく行なうことができるように願うのだ。そして、11月22日というのは、奇しくも「名前を消された大王ニギハヤヒ」の命日である。このことは、いったい何を意味するのか。説明の必要もないだろう。

▼能には「三輪」という演目がある。その仕舞(キリ)の部分で、有名な箇所がある。古来、伊勢皇大神宮(天照大御神、オオヒルメムチ)と、大神神社(おおみわ・大三輪、天照国照彦火明命、ニギハヤヒ)が、もともと一心同体であることを述べているので、物議をかもしてきた部分だ。この意味深長なキリを、最後に紹介しておこう。

・・・思えば伊勢と三輪の神、思えば伊勢と三輪の神、一体分身の御事、何を
今さら磐座(言わくら)や・・・

増田経済研究所
「日刊チャート新聞」編集長 松川行雄




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